side 外と中の境界線・1
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/06/18 16:03:29
しとしとと、雨が街の中を覆っていた。天空の街も、街中の至る所に飾られているバルーンの淡い色彩も水彩画のように滲んで輪郭が崩れている。服の裾を雨で濡らしながらヘイゼルが閉店間際のアオイの店を訪れると、雨のせいかヤマブキとサハラしかいなかった。
「二人しかいないのって、珍しいですね」
いらっ...
「マイホーム」カテで、部屋の小話を書いてます。
「自作小説」カテゴリでニコットタウンで暮らしているアオイさんの日記や小話などを載せています。
・全てフィクションですので、ニコットタウンで起こった出来事・住民とは一切関係のないお話になります。
「その他」で自己紹介を少し。
しとしとと、雨が街の中を覆っていた。天空の街も、街中の至る所に飾られているバルーンの淡い色彩も水彩画のように滲んで輪郭が崩れている。服の裾を雨で濡らしながらヘイゼルが閉店間際のアオイの店を訪れると、雨のせいかヤマブキとサハラしかいなかった。
「二人しかいないのって、珍しいですね」
いらっ...
ど、ど、ど、どうしよう。
ヤマブキさんに、歌を歌わないか。って誘われたの。
グラスやシルバーを拭きながら、ふんふーん、って鼻歌を歌ったりしてるけど。
庭で草花の世話をしながら、やっぱり小さく歌ってる事もあるけど。
夜道を歩く時、なんだか怖いのを吹き飛ばすのに、歌ったりもしてるけど。
けど、ねえ。だ...
今日も雨。ざあざあ、なんて大降りではなく、しとしと、と包み込むような細やかな、梅雨の雨が窓の外で降っていた。
「雨の日は、のんびりぼんやりしてても誰も文句を言わないから好き」
そうヤマブキさんが言っていた。
梅雨は洗濯物が乾かなくて困る。なんてカスミさんがぼやいている横で、ヤマブキさんが、その分...
―きい、と扉が開く音を聞いたような気がして。アオイは目を覚ました。
「あ、起きた」
アオイの横で、くすくすと笑いながらナンテンが、おはよう、と声をかけてくる。
「アオイちゃん疲れていたのね。凄く気持ちよさそうに眠っていたよ」
ふふふ、とおっとりと微笑むナンテンに、結婚式は?アオイは思わず聞いてしまっ...
「何言っているの、アオイちゃん」
「そうよ。今日のお祝いの主役はあなたなのに」
「今日は、アオイちゃんの結婚式でしょう?」 三人のとんでもない言葉に、えぇっ、とアオイは素っ頓狂な声を上げた。「けっこんしきって、あの、あの結婚式ですよね?」
思わずそう確認をするアオイに、そうよ、あの結婚式よ。と可笑し...
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