生還(1)。
- カテゴリ:仕事
- 2011/03/14 15:22:48
まずはご心配下さった皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。
今日生きて戻ったことをご報告。
3月10日、お客様80名様、添乗員2名の2台口で水戸観梅への船旅に出発。
船中泊して翌日に大洗港に到着。
同じ船で夕方には帰る予定だったので、船内に荷物は置いたまま偕楽園に向かった。
バスで移動して偕楽園の駐車場に着いた瞬間だった。
向かい側にいたバスが激しく左右に揺れ出した。
最初はパンクか?と思った。
途端、自分のバスも激しく揺れ始めて棚の上からいろんなものが落ちてきた。
駐車場にいた写真屋のバイトさんたちが立っていられなくて尻もちをついていくのが見えた。
とっさに「席立たないで!しっかり掴まってて!」って言ったはいいものの、これで正しい指示なのか?
このままバスごと横倒しになったら全員死ぬんじゃないか?
そう思ったけど、それ以外どうしたらいいのかわかんなかった。
そのまま大きな揺れが収まって、余震の続く中とりあえず全員でバスの外に出た。
売店の商品が崩れ落ちてた以外、大きな被害もそこには見当たらなかった。
すぐ脇では黒鳥がのんびり昼寝してた。
大丈夫だろうと思って、暢気に団体写真なんか撮って、偕楽園に入った。
中にある売店の瓦屋根が崩れ落ち、常盤神社の石灯籠が横倒しになってバラバラになってた。
周りの人の話し声から、車が川の中に転落したことがわかった。
そこで初めて、これヤバいんじゃないか?と思い始めた。
アタシたち北の道民がいかに地震の恐ろしさを理解していなかったか、それを実感するのはもっと後のこと。
バスに戻ってすぐに船会社に確認を取った。
その時既に電話はほとんど繋がらず、50回かけて1度繋がるかどうか。
それでも粘ってようやく確認を取ったら、津波がくるから船は1度沖へ出たとのこと。
再び着岸できるのが何時になるかわからない、と言ったのは船に乗ってるマネージャーだった。
まさか大洗港があんなことになってるなんて、その時はアタシたちはおろか、船員さんにもわかってなかった。
とりあえず偕楽園のトイレが断水したことがわかって、何時に大洗に向かうとしてもまずトイレのあるところに移動しておこう、と出発した。
そこからの5時間でバスが進んだ距離はわずか2~3kmだと思う。
停電による信号の停止、停電やガス漏れ危険による飲食店の閉店、断水によるトイレの封鎖。
ラジオの情報も合わさって、これが偕楽園だけの話、水戸市だけの話じゃない、もっと巨大なものだってことがようやくわかりかけてきた。
船会社と再び連絡。
すると船はもう大洗に着岸できないとの判断により、そのまま苫小牧まで引き返し始めたとのこと。
…帰れない。
慌てて今晩の宿、そして帰る手段を考え始めた。
でも何せ電話が通じない。
メールを頼りに会社を連絡をとりつつ、民間企業に頼みこんでトイレを借りつつ、食糧を求めて郊外の大型スーパーまで行ってみたり、鬼怒川まで移動できないかとバス会社の車庫に直談判しに行ったり。
被災状況がわかった今でこそ思うと、何もできたわけがない。
とうとうトイレも食糧もないまま21時を迎えた。
これ以上は動けない。最終手段の避難所への移動を決断した。
22時、避難所に着くと、責任者さんが血相変えて飛び出てきた。
80人なんか到底受け入れられるわけがない、地元住民のための避難所だ、と。
わかってるよ。迷惑だってことも承知してる。
でもこっちだってもう命の危険と隣り合わせなんだ。
地元住民だろうが観光客だろうが、1人の命の重みに違いがあるか。
必死の訴えは伝わった。
住居を失った住民のため、避難所の中には入らず、駐車場にて観光バスでの車中泊。
それでもトイレを貸してもらえただけで十分だった。
乗務員はそれぞれ自分の家の被災があるから撤収せざるを得なかったけど、燃料満タンでエンジンかけたままのバスを残してくれた。
みんな自分の家はストーブも付かないどころか電気すらないのにね。
狭かろうがなんだろうが、お客様が暖かい場所で一夜を過ごせる。ありがたかった。
そうしているうちに配給も来た。
乾パンだけでも助かったと心底思ったのに、23時を回ってからもなお地元のお店の人があったかいおにぎりと缶コーヒーまで届けてくれた。
ありがたい気持ちと、先の見えない不安が重なって、アタシたち添乗員はまったく寝られなかった。
2人でずっと外に立って、バスの見張りをしてた。
そうしたら停電の夜にしか見えないとってもキレイな星空が見えた。
オリオン座ってどれ?とか言いながら、ただひたすら夜が明けるのを待った。
ありんこさんは本当に、素敵なツア-コンダクタ-!2人でずっと外に立っていたあなた達は、正に守護神のような存在だったのですね-!
私の、兄がひたちなか市に、(兄の娘)姪が、東海村に住んでいます、大洗海岸のすぐそばです、昨日までに無事に、同じ避難所に非難し、電気も復旧、水も井戸水と配給の水で辛うじて、避難所で生活できているとのことで、ホットしたいますが、アリンコさんは大丈夫なの?
お客様も ありんこさんも無事で本当によかったですねえ。
あ~ 本当によかったですー。
ありんこさんの判断、グー!!です
国内旅行者の情報を調べるとどんどん不安になっちゃって。。。
ありんこさんが無事で本当に嬉しいです!
生きて戻られて本当に良かったです.