また他の方の日記からネタ借用です。ごめんなさい。
今回のテーマは、
「クマに死んだふりは効くんですか？」
だって。
効きません。
コメントも書かせてもらったんだけど、じっくり書きたくなったので自分のところで書いてみる。

「クマには死んだふり」の発祥の地は北海道です。
いやこんなガセネタ発祥してたって何にも嬉しくないけど。
時は大正４年の冬、苫前で起きた「三毛別羆事件」というのが元ネタです。
日本で起きた中では最悪の獣害と言われる事件で、７名の命が落とされたの。

発端は冬眠に失敗したクマが、食べ物を求めて民家にやってきてね。
庭のとうきび狙いでやってきたはずが、勢い余って壁を壊して民家の中に突入。
中にいた女性と子供がびっくりして大声で叫んでしまったの。
その声に驚いたクマが２人を敵とみなして攻撃。
これをきっかけに、クマの方が人間の味を覚えてしまったのね。
お腹が空いたこのクマ「袈裟掛け」は、別の日にもう一度民家を襲います。
その時家にいたのは全部で１０人。
うち、驚きの声をあげた７人と、そのお腹の中に入っていた胎児が死亡もしくは重傷を負って。
物陰に隠れ一声も出さなかった子ども２人だけが無傷で助かったんだよね。
それでクマに会った時は「死んだように物音を立てるな」＝「死んだふり」って言われるようになったんだって。

で、この方法が実際に有効かというと、絶対にやめた方がいいです。
↑の三毛別のケースでもそうだけど、「死んだふり」が効くのは自ら囮になってくれる人が近くにいる時だけだと思ったらいい。
コイツなら食われてもいいや、と思えるくらい心底嫌いな人とのデート中以外はやめましょう。

どうやって逃げたらいいと思います？ってよくお客様にも聞いてみるんだよね。
１番多い答えは死んだふりなんだけど、他にも
○友達を囮に自分だけ逃げる
○木に登る
○謝る
○脅かす
○とにかく猛ダッシュ
なんて答えが返ってきたことがあります。どれもヤバい。

正解というか方法はいくつかあるそうなんだけど、初心者でも簡単にできるものとしては
○貢ぐ
というのがあります。
クマは好奇心が強い動物なので、人間の持ち物にも興味をよく示すのね。
なので、まずはクマと目を合わせる。逸らしたら負け、は動物の世界の共通ルールです。
そしてそのまま、持ち物を何か１つクマに見えるように置くか放ってやる。
クマがプレゼントに興味を示したところで、さらに目を離さずに後ろ歩きで１０歩下がる。
１０歩下がって様子見、まだクマが飽きないようならもう１０歩。
クマが興味を失った、と思ったらまた新しいものを放ってやります。
そうやって１０歩刻みで後ろ歩きに下がり、徐々にクマの視界から消えるようにするの。
プレゼントは森の中でも目立ちやすいように明るい色のもの、ついでにさわったり潰したりすると音が出るもの（ペットボトルとか）だとクマさんが大喜びで夢中になる可能性が高いです。
これは大雪高原っていうクマの大量生息地に入山する時に山岳ガイドさんから教わった方法ね。

でも何より大事なのは、まずクマに遭わないこと。
鈴やラジオを付けて、大きな音を立てて歩くのもコツだよね。
そして絶対にやっちゃいけないのは、クマ生息地へのゴミのポイ捨て。
これは自分よりも、次に入山する人にものすごい危険を与えます。
クマは人間が賑やかに物を食べている時にはまず寄ってこないけど、夜になっておいしい匂いがするゴミが捨てられていれば寄ってきます。
そこへ次の日の朝、突然人間がやってきたら、クマはびっくり→ガブリ。
そうならないためにちゃんとハンターさんたちが事前に回ってくれてはいるけど、クマと自然とうまく共存するためにもポイ捨ては絶対にだめー。

というわけで、クマの逃げ方講座おしまい。


↑に書いた三毛別の事件、「三毛別」「クマ」「苫前」などのキーワードで検索すればもっと詳しく調べられます。
が、かなりグロい話なので、詳しいサイトを見るときには心してかかってね。
高校生未満は読まないことを強くおすすめします。

ちなみにその暴れグマ「袈裟掛け」、最終的には退治されたんだけど。
退治したクマ撃ちの名人、山本兵吉は最初その退治依頼を断っています。
なぜなら「鉄砲を質に入れて酒代にしたから」。
しょうもなさすぎて大好きです。