Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


呪文と花束


今日は少しだけ心がうわむいた。
情報誌をくばるバイト。
数をかぞえてゆく、
よんじゅうさん、43…死産、よんじゅうよん…44…四肢、死屍…ごろあわせのような連想が、異界へみちびく呪文になってゆく。すこし縁起が悪いなともおもったけれど。

けれども、44。よこたわる四肢が、わたしをどこかへつれていってくれるようだった。
掛詞のように、なのだろうか。

公園の緑が、今日はとてもやさしく、あかるかった。
とくにちいさな流れ、用水路に生えた、菖蒲の葉っぱ。
まだ花は咲いていない。

情報誌をくばりおわって
うちにもどる途中、
おおきなおうちの門のわき。
青いバケツに白いマーガレット。
〔ご自由にお持ちください〕と書いてある。
以前から、なんどかおめにかかったことがあったのだが
ちょうど出かける時で、
帰ってくる時にはもうなくて、ということがほとんどで、
帰り道でのそれははじめてだった。
とうとう、もらえる…。
そっと花をとる。てきとうな本数で、輪ゴムで小分けにしてあった。
ここまで心づくしをしてくれていたとは。
やっと、うれしい。

手じかに紙はないかとさがすがない。
こんど、お礼をしたためようと思った。

マーガレットをもってうちに帰ったら
だいぶ心がおちついていた。




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