Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


星に願いを。


うちの近くの、大好きな公園…田んぼがあり、敷地内に、藁ぶき屋根の古民家たちのたちならぶ民家園があり…民家園のなかには、蕎麦畑、麦わら畑も…、養蚕農家の再現、半農半商の家では、ラムネと団子を売っていて、板敷きの床、炉がきってあるあたりを囲んで、そこで飲食することもできる…、民家園は午後四時半まで、田んぼがあるほうは、その限りではなく、いつでも通ることが。近くの川から水をひいた用水路(元々使われていたものの復元)では、ザリガニをとる子供たち、用水路のつくる池には、亀や鯉、そしてかるがも。池のあたりと、川に接する公園の縁のあたりは、モミジ、桜、えごのき、けやき、すだじい…あとなんだろう? 数種類の木々がうわっており、林っぽくなっている。…ともかく、好きなその公園、民家園への入り口に、最近、大きな笹がもってこられた。垣根のむこうに、おそらく支柱があるのだろう。七夕のかざりがたくさんついている。あんなに大きな笹は、ここでしかみたことがない。笹から、金や銀、桃色や青、白、たんざくなどが、花として咲いている。さらさら。ああ七夕だなと、取り付け作業をしていた、数日前にまず思った。みあげる自分の顔がどこかやさしくなっているのがわかった。七夕はそういえば、すきな行事だったはずだ。たぶん飾り付けをするのが楽しかったのだろう。色とりどりの、短冊たちの花。星に願いを。毎日公園を通っているから、ここ数日、通るたびに、七夕飾りされた笹をみあげている。みあげるたびに、ああ、と短冊の花たちの色とりどりに、心みだされる。なつかしいような、やさしい色たちの花が咲いている。願い事は書かれていない。願い事が書かれた短冊もいいけれど、白紙のままのそれもいい。なぜなら、その白紙の短冊に、自分の願いをのせることができるから。そこには好きな願いを夢想してよいのだ。わたしの願いは、いつもきまっている。正月の初もうででも、そんなふうにお願いをする。「いい作品が書けますように。書いてゆく意志が保てますように」。星に願いを。用水路は笹のある民家園の入り口あたりで、池となり、あとは両脇に黄菖蒲のぎっしり植わった小川の体をなしてゆく。笹の葉さらさら、そういえば、子供のころ、笹舟をつくったっけ。さらさらとした流れにそって、公園をあとにする。作品がかけますように。星に願いを。




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