Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


風さん、その3


 わたしの最近書いた作品のなかに「おんどさたち」ということばがあって、それをある方が、生き物として扱っていて面白いといってくれたことがあった。あるいはその時に、気付いたのかもしれない。わたしは付喪神的なものを、どうやら信じている。というと語弊があるが、わたしには、まわりのすべてのものに、生が宿っているような気がしている節がある。石ころ、羽、猫のおきもの、きれいな箱。だから、ほんとうに生きてあるもの…、例えば家の近所の、道に面した庭に水を入れた衣装ケースがあり、そこに住んでいる二匹の亀、彼らに勝手に「亀吉くん」と名付けて、毎朝、挨拶したり、公園に住んでいるカルガモたち、やはり毎朝見かけて、うれしくなったり、そして今の時期は、家のベランダの朝顔だ。数年前に買った行灯作りの鉢に、毎年種をまいているのだけれど、それが今年も蔓を伸ばしてくれている。その蔓が思うように支柱に絡んでくれないので、このところ毎日、水やりのたびに、蔓を支柱に沿わせている。いやいやする子を、いいきかせているようで、なんだか楽しい。つぼみをつけているのを見つけたときもうれしかった。わたしのまわりには、こんな子たちがたくさんいる。それは、小さいころ、わたしのそばにいてくれた、かれだと思う。名前はかぜさん。それも、また。


その1とその2は、順番がぎゃくになっているけれど、近々載せます。




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