Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


きらきら、伊豆旅行、帰ってきました その3

仮想タウンでキラキラを集めました。

2019/10/31
キラキラ
集めた場所 個数
自然広場 5
ニコット山 5


きらきら、自然、山、三択、2個以上5個未満

伊豆旅行の続きです。

 翌朝の天気は下り坂。雲が前日よりも厚く、全体的に灰色の光景が広がっている。宿をチェックインし、土肥の町というか、土肥金山へ。土肥は金山で栄えたところらしい。江戸時代、そして明治、昭和四〇年に金山閉山。今は伊豆市指定史跡兼観光施設になっている。その観光坑道に入ったり、砂金掘りを体験したり。小さな粒が三つほどしか採れなかったのはご愛敬。
 土肥金山へ向かう途中、土肥の港などを通ったが、月曜日ということもあって、賑わいがない。海も曇り空のなかで、灰色の水を湛えている。そういえば土肥温泉の宿もどこも古いものが多く、なにか全体的に静かすぎるような感じがした。旅行ガイドなどでも、東伊豆や南伊豆が多く紹介されているのに対し、西伊豆は堂ヶ島ぐらいで、後はあまり積極的に紹介されていない。土肥や隣の戸田に割かれたページは少しだ。そのことに合点がいったような、そんな寂しさがあった。
 土肥を後にして、西伊豆を南下する。この後に寄った観光スポットはとりたてて書くことがないので省略。
 黄金岬、安良里、田子、堂ヶ島。うねうねとした岬も多いので、内陸になったりするが、基本海沿いを通った。だが天気が悪いのがすこし残念。
 堂ヶ島をすこしすぎたところの大浜海岸へ。
 昔、どこの海辺で拾ったのだったろうか。おそらく西伊豆だ。うちに古い時代の陶片がある。その時に一緒に行った人が、これは江戸時代ぐらいの古伊万里なのだと教えてくれた。青い染付。江戸時代のものが落ちていることに、それを手にしていることに感動した。波でもまれているうちに、破片たちは鋭利さをうしない、色もこすれて、丸みをおびた温もりをはなつ。それは過去からの投壜のようでもある。その連想からか、陶片だけではない、ガラス片であるシーグラスと称されるものにも何か惹かれる。やはり丸みをおびて透明さが曇った、小さなガラスたち。
 いや、陶片やガラスたちに、それほど思い入れが強かったわけではない。その当時、拾った刹那は心動いただろうが、その後、長らく忘れたままだった。最近になって、縄文土器などに惹かれるようになって、ふと思い出し、ひっぱりだしてきたのだった。過去からの温もりを伝えるかけら、として共通項を見いだしたのだろうか。
 そうして、ひっぱりだしてきた陶片やシーグラスたちに思いをよせる感じで、調べてみると、西伊豆ならば特に大浜海岸で、そうしたものたちを拾えるという情報を得た。ビーチコーミングというそうだ。西伊豆町観光協会で出しているガイドマップにも海水浴のほか、石拾いの場として紹介されていた。
 また陶片たちに会えるだろうか。そんな思いで、ほぼ旅の最後に訪れることにしたのだった。
 浜につくと、すこし雨が降ってきた。釣りをしている夫婦がいたが、わたしたちと入れ替わりに帰っていった。季節外れの海水浴場には誰もいない。砂浜は石や陶片が流れつくからなのだろうか。流木だけでない、海藻などの漂流物もいっぱいだ。ああ、そうだったなあと思い出す。あれはやはりここではなかったが西伊豆だったのだ。おだやかな海、そしてきれいな海。でも、浜には海藻などの漂流物が多く、あまり見栄えがよくないなあと、思ったものだったっけ。きれいなものが漂流してくる、だけではないのだ。そういえば、あの浜で、トンビの死骸を見たのだった。
 雨が降っているぐらいだから、空は厚い雲でおおわれ、海も鈍色だ。灰色の砂、灰色の海のなか、石たちを探す。あるいは足元ぎりぎりまで打ち寄せる波を眺める。
 古伊万里の陶片…と大雑把に書いたが、もうすこし調べてみると、江戸時代、有田の隣町、長崎の波佐見で大量に焼かれた日常使いの磁器「くらわんか」というものらしい。江戸の人々が日常で使っていた器たちのかけらが、こうして流れついてきている…。そういえばシーグラスには、そうした人の手を感じなくても、つい惹かれてしまう。宝石というより、小さい頃にきれいだなと思ったドロップとかビー玉を見るような感じに近い。曇って不透明になったガラスだからこそ、よけいに時間を感じるのが、心地よい。
 だが、それらを意識して探すとなかなか見つからない。青い陶片と海のガラス。昔拾ったときは意識しなかったからこそ、逆に拾えたのだろうか。
 それでもすこしだけ採取した。雨がすこし強くなってきたこともあり、帰ることにする。時刻は二時過ぎ。昼ご飯がまだだったので、堂ヶ島で食べて帰ることにした。というか、土肥から大浜まで来る途中、食べ物が食べられそうなところは堂ヶ島ぐらいしか見当たらなかったのだ。ここならお土産なども見たりすることができる。
 堂ヶ島は何回か来たことがある。遊覧船も楽しそうだったが、過去に二回以上乗っている。それにあいにくの雨だったので、今回はもういいと思った。
 鰺とシラス丼を食べる。お土産屋さんで、このあたりで作ったというダシパックの試飲が美味しかったので購入した。
 そのあと、また土肥まで戻り、中伊豆に入って…。行きに寄った村の駅にまた立ち寄り、柿田川湧水群の看板も見た。というか、柿田川のすぐ近くの国道を走った。この緑のむこうに流れている…。また近くを通ることがあるなんて。雨が強くなってきた。
 そうして数時間で、東京へ。こちらは雨が上がっている。というかほとんど降らなかったようだ。気候が違う、それだけ離れているのだなと思う。
 また日常が始まった。後日ダシパックで、この秋初めての鍋を作ってみた。香りというか、ダシが効いている気がした。拾ってきた陶片やシーグラスを洗って乾かした。思ったよりも多くきれいなものたちを採ってきていて驚いた。以前拾った時と、あまり変わらないか、シーグラスに関しては前回よりも多かった。そのことがおかしい。また雨が降った。

(この項終わり)

いつも読んでくださって、ありがとうございます。




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