オオカミの森。
- カテゴリ:勉強
- 2009/01/08 17:58:48
旭山動物園に行ってきた。
1年ぶりぐらいになるかな。
一去年はコッチでお客様を受けて、動物園だけ見せてまた帰すって仕事もやったけど。
仕事がなければ地元民は個人的にはあんまり行かない場所なの。
なんたってひどい混雑だからねー。
今回は狙いはもちろんオオカミの森。
2008年6月オープンの新施設。
ケン(♂)、メリー(♀)、クリス(♀)の3頭のオオカミと、すぐ横にエゾシカ2頭が飼育されてます。
威嚇したり怯えたり、弱肉強食のありのままの自然の姿を見てもらうためなんだって。
…が。
実際はもうお互いすっかり馴染んじゃって、のんびり共存している状態。
たまにじゃれあって、オオカミがエゾシカの足とか鼻とかを柵の隙間からガブっとやったりはするそうだけど。
緊張感があったのは最初の1ヵ月にも満たなかった、と飼育員さんが言ってた。
そりゃそうだよねー。
それでもオオカミとエゾシカの共同展示はやめないんだって。
そこには北海道の歴史が凝縮されて詰まっているから。
昔、北海道が蝦夷地と呼ばれてた頃。
アイヌの人たちはオオカミともエゾシカとも共に生きていたの。
ところが明治維新があって、北海道に開拓の手がどんどん入り込むようになって。
アタシたちの先祖である和人が、牛とか馬とかの家畜をいっぱい連れて来た。
オオカミだって目の前に美味しいエサが転がってきたら当然食べるよね。
ちょうど寒冷期がきてエゾシカが大量死したからオオカミも他に餌がなくて、余計家畜を襲うようになったんだって。
家畜に手を出された和人たちが怒って「オオカミを殺せ!」と声を上げ。
オオカミは「害獣」と呼ばれるようになって、どんどん人間の手で駆逐されたわけ。
記録に残るだけでも1500頭、実際には4000頭余りが捕獲されて殺されたんじゃないかって言われてる。
一時期は政府が懸賞金をかけていて、今のお金に換算して1頭あたり10万円くらいもらえたこともあったっていうから。
次から次へと殺されて。
1896年に函館の毛皮商人が何枚か輸出したって話を最後にエゾオオカミは歴史から姿を消した。
つまり絶滅。
悲しい話はこれだけじゃ終わらない。
オオカミがいなくなった今、「害獣」と呼ばれる対象はエゾシカに変わっています。
エゾシカは家畜を襲うわけでもないから、「害獣」になった理由はもっとえげつない。
オオカミがいなくなったことで、エゾシカはどんどん頭数を増やしてきた。
だけど北海道の冬は厳しくて。
特にエゾシカが多く住むのは道東~道北にかけてだから雪が多いの。
数が増えれば増えるほど、冬になると食糧に困る。
雪の深い北海道じゃ地面を掘って枯草を食べることもできなくて。
するとエゾシカは木の皮を剥いで食べるようになるのね。
それも顔の高さの皮をぐるっと一周剥くようにして。
維管束を失った木は枯れるしかない。
エゾシカの住む森では、どんどん木が枯れて行ってるの。
だから「害獣」。自然を破壊する生き物だから。
懸賞金こそかけられてないものの、食肉利用が盛んに奨励されてるよ。
実際、道東のホテル行ったら鹿肉出してるところはかなりある。
…バカみたいな話だよね。
自分の邪魔になる生き物は全部消して。
そうしてアタシたち人間の世界には、いったい何が残るんだろうね。
↑の話は、実は今回知った話じゃなくて。
アタシがよくお客様にお話ししているネタの1つです。
いつもシカが見れたらこの話をするんだ。
バスの中で話す時に、もしかしてアタシたち人間があの間違いを犯していなかったら、こうやってバスの中からオオカミを見ることもできたのかなぁって思うことがあるの。
今日旭山に行って、自分の目でオオカミの姿を見たら、余計そういう思いが強くなって。
将来エゾシカが見れない北海道にはしたくないなぁって。
オオカミ見ながら考えさせられた日でした。
旭山でもこの歴史はわかりやすく展示物にして、オオカミの森中に貼ってくれてます。
そういう意味でもやっぱり好きだなぁ、旭山。
帰りに旭山限定ホッキョクギツネのぬいぐるみを買ってしまった。
すごい美人でかわいいんだけど、23才にもなってアタシはこれを何に使うんだろうね。
あ、札幌の方なんですか?
円山は去年行った時にオオカミ舎が建築中で、狭い檻のなかオオカミが徘徊していたのを覚えています。
政治や経済は難しくて敬遠しがちですが、↓の説明はすごくよくわかりました。
根っこは同じところにあるのかもしれないですね。
結果がわからないからいろいろ試行錯誤しながら生きていくのは当然で。
でも途中で「これでいいのか?」と一度立ち止まって振り返ることも大事なんだろうなと思います。
絶滅なんて悲しいことが起きる前に。
楽しく、読ませていただきました。
札幌の円山動物園にも、去年、オオカミ舎というのができました。
なんか悲しいですが、人間が入ってきた時点で、生態系は崩れるんだと思います。
だから、それを維持しようとバランスを取るのは、ものすごく難しいこと。
当時は、オオカミが悪で、それを駆逐すればなんとかなると思ってたんだけど、
結果としてそうじゃなかった。(余計状況が悪くなった)
政治や経済だって、一時期は政府が財政出動を行うのが善だとおもっていたのに、
借金が拡大して、どうにもならなくなった。
そこで小さな政府を標榜して、規制緩和をしたら、当分はうまくいったけど、やっぱりだめ。
またまた大幅な財政出動を求めてみるけど、結果が前より良くなるかどうかは・・・
人間の作為によってバランスをとるのって、すごく難しいんだろうなと思いました。