Nicotto Town



村。



じいちゃんが亡くなった。
しんみりしてない。九十云歳の大往生だもの。
しかも入院する前の日まで普通に雪はねも買い物もしながらきちんと生活できていて、よくいうピンピンコロリの典型みたいなもの、表彰してあげたいくらいだよ。

しかし今回最も驚いたのは、じいちゃん死亡の事実以上に、村の力っていうやつだった。
じいちゃんは人口約1,000名の小さな村の住人だったのよ。
葬儀屋がないんだ。
どうするんだろう、あたしら遺族が近隣の町から葬儀屋を探すところから始まるのか、とまごまごしていたら。
村ってすごかった。

まず、じいちゃんが入院した僅か2時間後、1人では暮らせない認知症のばあちゃんが施設に回収されている。
じいちゃんが亡くなった知らせを受けたら直後、すぐさま役場職員が身柄を引き取りに病院(村には診療所しかないから隣町のこと)まで足を運んでくれている。
あたしら遺族が到着する頃には、既にじいちゃんは自宅に安置され、葬儀の段取りまで話が進んでいる。
「祭壇は佐藤さんの家の物置にあるよね、じゃあ佐藤さんと田中さんで運んでセッティングね」
「坊さんへの連絡は山本さん頼んだよ」
「まかないは小林さんの奥さん?あぁ風邪引いてるんだっけ、じゃあ鈴木さんの奥さんだね」

いやすげえよ。プロの葬儀屋入ってたって、こんなに物事スムーズに進まないよ。
行政の目が村人一人ひとりに行き届いていて初めてできる技。
しかも都会なら必須の選択ってものが1つもない。
祭壇は何十万~何百万がありまして、お花はこれとこれとこのデザインがあって、弁当は松竹梅が云々、とか必ずあるでしょ。
その面倒が一切ない。
だって祭壇は佐藤さんちの物置のしかないし、花は1件の花屋の店先に並んでるものしかないんだから!
「村のしきたりでやっていいですか?」との問いにえぇどうぞどうぞ以外の答えもなかった。

死ぬときは村だな、って本気で思ったけれど。
最期を悟ってから村に行ったんじゃ手遅れ、こんなに手厚く見送ってくれることはないんだろうな。
達筆だったじいちゃんは、それこそこれまでに村人何十人分の葬儀の式次第を書いてきた人だったからこそなんだろうな。
ちょっと憧れてしまう村生活、でも困るのが就職、葬儀屋だけじゃなく旅行会社なんてものも当然ないんだよなぁ。
村で役立つスキルを磨かなければ。

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2017/04/12 18:17
○妃呂さん
死を悼んでくれる方がたくさんいる、というのは大変ありがたく、嬉しいことですが。
一方で、葬儀の格差にはうーん…?と悩んでしまいますね。
この村では、亡くなったのが村長であろうが貧しい一介の村人だろうが、全く同じ葬式が上がります。
それでいいんじゃないか、死んでからまで格差をつける必要があるのか、と思うようになってしまったのも事実です。
まぁ都会ではダメでしょうね、こんな方式。
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2017/03/26 00:33
ありんこさんただいま~
なんつて笑

お葬式の時、その人物の人となりがわかるものですよね
叔父がなくなった時、事業を失敗、倒産し周りに迷惑かけたまま亡くなったので
とても寂しいお葬式だったのを覚えています。

人との繋がりを大切にできる人になりたいなぁと...
介護施設で働く今はより思うようになりました^^

最近よく出没中なのでまた遊びに来ますね(´ω`*)



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