「ぐっ・・・!」
手元屋忠兵衛は、激しくもがいた。
が、身に絡み付いた縄が食い込むばかりだ。
「うっ!うぅっ!」
助けを呼ぼうにも、ご丁寧に猿轡まで噛ませられている。
「けっ!」
忠兵衛の前に立つのは。
「悪事で貯めた金(おたから)なんざ、猫に小判より価値も無ぇ!」
黒装束に、くぐもっ...
休日以外(水曜以外)、ブログ短編小説、毎日更新
「ぐっ・・・!」
手元屋忠兵衛は、激しくもがいた。
が、身に絡み付いた縄が食い込むばかりだ。
「うっ!うぅっ!」
助けを呼ぼうにも、ご丁寧に猿轡まで噛ませられている。
「けっ!」
忠兵衛の前に立つのは。
「悪事で貯めた金(おたから)なんざ、猫に小判より価値も無ぇ!」
黒装束に、くぐもっ...
「奥さん!聞いたぁ?北野さんとこの・・・」
「駿君ね。交通事故ですって?まだ6歳だってのに、お気の毒ねぇ。」
「何が気の毒なもんですか!」
「そうよね。母親は・・・」
「お葬式も出さないで。仏壇だって買わずに、お線香の一つも上げて無いらしいわよぉ!」
「それじゃ、何にもご供養してないんじゃ...