奇妙な光景だった。
「いや、誠に・・・」
藤田源太郎は、如何に継ぎの目立つ襤褸を纏っていようと、腰に二本を差した武士である。
それが。
「なぁに。いいって事よ。」
如何にも町人態の男に、ぺこぺこと頭を下げているのだ。
彼は、嘉助、と名乗っていた。
士農工商の身分制度が厳然とあったこの時代、滅...
休日以外(水曜以外)、ブログ短編小説、毎日更新
奇妙な光景だった。
「いや、誠に・・・」
藤田源太郎は、如何に継ぎの目立つ襤褸を纏っていようと、腰に二本を差した武士である。
それが。
「なぁに。いいって事よ。」
如何にも町人態の男に、ぺこぺこと頭を下げているのだ。
彼は、嘉助、と名乗っていた。
士農工商の身分制度が厳然とあったこの時代、滅...
さっき、ブログ小説を書いていた所。
半分近く終了した所で、ミスでそれまでの文章を消してしまった。
やる気を無くしてしまい、不貞腐れて宙を睨んだ。
すると。
ふと
「あ。あそこ、ああ書いた方がいいじゃん。」
新しいアイディアが産まれた。
ミスをしなければ思い浮かばなかった事。
ミスは決...
『さて、どうしよう。』
東藤有之介も浪々の身とは言え武士の子である。
十の頃から道場に通い、八年一刀流を学んだ。
その末、道場主である師に賜った御墨付きは、目録でも切り紙でも無く。
”見込みが無い”の一言だった。
よって。
「格好付けやがって!」
「痛ぇ目見てぇのか!」...
「保科君。君には忍者になってもらうから。」
出勤早々、上司からそう告げられて戸惑わない者はいないだろう。
「・・・は?」
品田市職員、保科良治もまた例外では無い。
「ま、詳しい話は私が説明するわ。」
「い、生田!?」
背後からの声は、高校時代の後輩、生田愛美だ。
が。
「先輩を呼び捨て...
ブッポウソウと言う鳥が居る。
それは「ブッポーソー」と鳴くから、と言う理由でそう呼ばれた。
が、実はそう鳴いているのは近くにいたコノハズクで、ブッポウソウでは無かった。
しかし、それが知られた今でも、ブッポウソウはブッポウソウである。
ヤツメウナギは、八つも目は無い。
本物の目の後ろに並...