Nicotto Town



休日以外(水曜以外)、ブログ短編小説、毎日更新

OSHIRA ③

「御呼びにより参上致しました。本田正衛に御座います。」

「妻のぉ、京でーっす!」

畏まる正衛の傍ら、妻と言う言葉に照れながらも元気良く片手を振り上げる京。
どうせ相手には見えてはいない。
それが解っていても、つい正衛の顔が歪む。

「うむ。南部利済である。」

やはり、京の所作も知らずに真面目く...

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OSHIRA ②

「へへー!気持ちいいね、旦那様!」

京が、うん、と伸びをする。

「うむ。天気が良くて何よりだ。」

小さく微笑んで、夫の正衛が応じる。

「でも、旦那様と旅が出来るなんてさ!あ、山百合!」

「・・・遊びでは無いのだぞ。」

これは、正衛の”御役目”の為の道行きだ。
が。...

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OSHIRA ①

燕飛ぶ空

映す水面に

薄氷(うすらひ)の張る

霜月の

風の音を追い

舞う竜胆

花弁を散らし枯野を包む

何処へと問う我が言葉

何処へと追う我が身とぞ

もしも願いが叶うなら

届いておくれや

愛しき胸に





ぱちぱちぱち

「いやいや、瑠璃や。天晴な歌声じゃ。」

「恐れ入りま...

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少々

ネタが尽きて来たので、ここらでちょいと(ほんとにちょいと)長めの話を書く為、資料集め中。

タイトルは「OSHIRA」。

「幽霊咄」の直接の続編です。

STORY>

”あの事件”以来、噂が噂を呼び、次々と江戸市中の怪異事件の解決を依頼される事となってしまった本田正衛。
...

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孝道

「・・・」

「・・・お帰り、重蔵。」

孫の、”予想通りの”早過ぎる帰宅に対し、茂十はそれだけの声を掛けた。
それ以上、掛ける言葉は無かった。

「”小汚い痩せ百姓の分際で、由緒ある南田家の敷居を跨ぐとは身の程を弁えよ”だとさ。」

喪服代わりの黒い...

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