Nicotto Town



休日以外(水曜以外)、ブログ短編小説、毎日更新

一花 後編

「や、野郎!」
「どりゃあ!」
「死ねえぇ!」
突然、男共の内の三人が、貫介に襲い掛かった。とは言え。彼等は、捨て鉢になったのでも、ましてや肚を決めたのでも無い。ただ、緊張に耐え切れなくなった、ある意味での逃避であった。
「・・・ふん。」
それでは、数の利の意味を為さない。光る貫介の目。疾る刃の白い...

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一花 中編

「で、せつさん。」
徐に、貫介が口を開く。
「・・・はい。」
せつは、目尻を隠しつつ応える。
「これから、どうするね。」
「どう、と言われましても・・・」
先程せつは、家財、店まで売ってしまったと語った。帰る家も無かろうし、その上、両親まで身罷ったとあっては。親類縁者も丑寅一家の手が回ろうし、逃げる...

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一花 前編

「さぁかなぁ~、しじみぃ~。」
潰れ長屋の粗末な戸板の向こうで、馴染の売り声。もうそんな時間か、と床から身を離そうとして。
「ふふ。」
感じた怠さ、節々の痛み。儂も老いたわ、と大西貫介は苦く笑った。



「な~にを仰ってるんですよう!大西の旦那!」
棒手振り商いの仁太は、かかか、と貫介の愚痴を笑い...

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不死者の死

「そんな・・・」
二つの視線の向かう先には、先程までの激しい痙攣も既に止め、目と口を限界まで開き、空を掴もうとした鈎型の指のまま、仰向けに倒れた一人の男。
「死んでますね。」
二人の内の一人、二十代半ばと思しき青年が、瞳孔を確認し、告げた。
「馬鹿な!」
そして、もう一人。初老の、白髪で頬のこけた男...

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へんたい!

「へっへっへ~。共実ぃ~。」
「何だよ和樹。気持ち悪ぃな。」
「い~い季節になったよなぁ。」
「あぁ?」
「女子は邪魔なベストを脱いで薄手のシャツだけ!」
「あー。衣替えか。」
「これから秋まで透けブラ見放題!これで雨にでも濡れた日にゃあ、くぅ~!」
「・・・」
「な?福眼たぁこの事じゃあねぇですか...

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