カッポ
カッポ
カッポ
「正吉。よーく、見て置くんだよ。」
母に示された、その先には。
馬上にて、亀甲に縛られた。
小柄な、目付きの鋭い罪人。
「これで、見納めなんだからね。」
母の声は、震えている。
繋いだ手が、痛い位に握られる。
「・・・」
正吉と罪人の視線が、一瞬、絡んだ。
気のせ...
休日以外(水曜以外)、ブログ短編小説、毎日更新
カッポ
カッポ
カッポ
「正吉。よーく、見て置くんだよ。」
母に示された、その先には。
馬上にて、亀甲に縛られた。
小柄な、目付きの鋭い罪人。
「これで、見納めなんだからね。」
母の声は、震えている。
繋いだ手が、痛い位に握られる。
「・・・」
正吉と罪人の視線が、一瞬、絡んだ。
気のせ...
「どーぞゆっくりしてって下さいッス!」
賃貸アパートの一室。
快活にお茶を勧める、ふくよかな女。
傍らには、ベビーベッドですやすやと眠る、赤ん坊。
対して。
小さくなっている家主と。
渋い顔で腕を組む、客。
「いやー、ロクさんってば、昔の事、ちっとも話してくれないんスから!お友達においで頂けるな...
「あ、君、ここのメイドさんだったんだ。」
「は、はいっ!ど、どうぞ御贔屓にっ!」
「じゃあ、贔屓にさせてもらおうかな。」
「・・・っ!」
少女は素早くテーブルに注文のコーヒーを置くと、トレーを胸に抱き、ぱたぱたと足音を立てて去って行った。
踵を返す瞬間、真っ赤な頬を垣間見た男は。
「・・・...
「ワン・・・!ツー・・・!」
レフェリーの戸田茂樹は、カウントを唱えつつ
『おい!どうした!?』
倒れ伏した、森智徳に、心で声を掛けていた。
『お前は、親父さんの仇を取るんじゃなかったのか!?』
赤コーナーでは、日本チャンピオン、駒形四郎が智徳を見下ろしている。
その表情は、何処と無く陰鬱...