「お、和尚様。こ、この度はほんに、有り難えこってして、はぁ・・・」
百姓家の前。
家主の男は、手を握ったり開いたり擦り合わせたり。
視線もあちこちに飛んで、落ち着きが無い。
「いや、儂が勝手にした事じゃ。流石に親父殿の三回忌法要くらいはせぬとのう。」
対して旦那寺の住職は、事も無げな風情。
...
休日以外(水曜以外)、ブログ短編小説、毎日更新
「お、和尚様。こ、この度はほんに、有り難えこってして、はぁ・・・」
百姓家の前。
家主の男は、手を握ったり開いたり擦り合わせたり。
視線もあちこちに飛んで、落ち着きが無い。
「いや、儂が勝手にした事じゃ。流石に親父殿の三回忌法要くらいはせぬとのう。」
対して旦那寺の住職は、事も無げな風情。
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以前、ブログでも紹介した「友情の男 アミーゴマン」の作者、こにししのぶ氏が私のTwitterフォローしてくれた。
何か嬉しい。
ならぬ:時代物。貧乏寺の住職ながら高潔・高徳と名の知れた、聞念和尚。しかしある時、寺の本尊の如来像が二千両の価値のある逸品と告げられてしまい・・・
1月21日制作予定
アイデンティティ:酔った末の喧嘩で留置所に留められていた高梨正一。身元引受人として迎えに来たのは、正一とそっくり同じ顔をした正...
「荷物、それだけでいいのか。」
「へへへ。うん。」
荷造り手伝ってくれて、ありがと。
そう呟くこいつの笑顔はいつもと多分変わらない。
けれど、大きめのボストンバッグと小さめのリュックに落ちた眼差しには、やはり影が差したように見える。
確かにボストンバッグの方は俺も手伝ったが、リュックの方は手を...
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!」
逃げる男。
「おい。待てよ。」
追う少年。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!」
宵闇の路地裏は、足音と喘鳴で満ちた。
「走ってばっかじゃつまんねぇだろ。掛かって来いよ。」
小馬鹿にしたような声。
余裕の態度の、薄笑い。
「その銃には、弾がたっぷ...