Nicotto Town



笹の葉も見せましょ

はだ。慶次と。 可児だった。彼が笑いながら柴田に言ったのである。「では一番槍と共に笹の葉も見せましょうぞ」「うむ、そうしてみよ!」 柴田もだ。可児のその言葉を受けて返した。「よいな才蔵!わしにその笹の香りをかぐわせてみよ!」「ではいざ!」「おっと、わしもおるぞ!」 その可児の横にだ。慶次が黒い巨体に...

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頭も髭

介からの指令に怯えていたが、珍しく上洛軍に加えられ、どこかに飛ばされるような気配もない。 ここで牛太郎が危惧したのは、これから先、ずっと上総介の傍に付かされるのではないか。 それだけは一番御免こうむりたい。「しかし、元就公が亡くなられているとはいえ、毛利家は一筋縄では行きませんでしょう。備前岡山の宇...

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確かに不識庵に


「お前ともあろう奴が、とんだ的外れだな。確かに不識庵に上洛の野心はねえ。だが、お前が言う不識庵像はまったく違う。不識庵は狂人だ。竹中の小僧のようなもんだ。いくさに狂っている男なのだ」 藤吉郎は驚きのあまり、顔を上げてしまう。「そ、そんなはずありませんぎゃあ」 信長はむっと口を閉ざしている。まずいと...

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一時間近

は、寝床にするつもりで勝竜寺城に押しかけてき、折よく兵部が在席していた。快く、という表情でもなかったが、織田家の畿内奪還の立役者をぞんざいに扱うはずもない。「そんなことより、摂津はどんなもんですか」 と、牛太郎はぎこちなく話を変えた。 勝竜寺城は京と摂津を結ぶ西国街道の途上にあり、京都盆地の南端にあ...

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梓から受けた暴力

介という男の才覚一つだけであった。 それでも、無類の智謀と創造性と強運を持つ上総介であっても、武田ばかりは恐れていた。武田を敵に回せばひとたまりもないことは重々承知していた。 しかし、牛太郎は前々から上総介に進言していた。 武田が西上を開始したそのとき、偉大なる戦国大名、徳栄軒信玄は死ぬと。 実は、...

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