Nicotto Town


「時のかけら」


創作小説「ソハコサ国の勇者」2

 「平行世界シリーズ」

ソハコサ国の勇者


第2話


 事の始めはソハコサの国。
「勇者召喚の儀、ですか…?」
 至急城に来てくれと連絡が入り、やって来たエカーチェフが説明を聞いて声を上げる。
 まだ幼さが抜け切らず、見た目には少年としか見えないがれっきとした高等魔導士としての認証を受けた魔導師。それが彼の職業だった。
「隣国のヤナテトシム大国に派遣した魔導士たちも戻っては来ない。これ以上、魔導の国・ソハコサの信頼を落とすことができないのだよ」
 だから最終手段にでるのだ、とソハコサ国王がエカーチェフに命令を下す。
 隣国のヤナンテトシム国は工業の国として発展している大陸一、大きな国だった。山を挟んで隣接しているソハコサは、かつては火山口だったらしい窪地…大きなカルデラ地帯のみを国土とする小さな国。
 先代の王から封鎖的だった国交を広げ、魔導の国として各国に必要に応じて魔導士を派遣するなどして少しずつ、世界にも認識されはじめた国だ。
 先日からヤナンテトシム国の依頼で魔導士が派遣されていたのをエカーチェフも知っていた。
 小さな街がひとつ、突然消えたのだという。
 原因を探りに行った魔導士たちは行方不明。
 そして、今は異形の者がその街周辺を徘徊しているとの情報が寄せられている。
 再びヤナンテトシム国から状況と依頼文が届き、国王は決断した。
 〈勇者召喚の儀〉を行う、と。
 魔導の中でもで高等な魔導師しかできないという〈秘術〉。
 どうにもならない事件が起きたときに、解決できるであろう人物をこの場に〈召喚〉するのだ。それはこの世界の者の時もあるし、異世界の者の場合もある。
 誰が導かれてやって来るのかは、判らない。
「空間の魔導を得意とする魔導師はエカーチェフのみ。すぐに儀を執り行ってもらいたい」
 国王の命令に逆らえるはずもなく、エカーチェフはうなずくしかなかったのだ。
 そういう訳で、エカーチェフは勇者召喚の儀式を実行したのだった。
 〈魔方陣〉を描き、転移の呪文を唱え続けて・・・・・・そこに現れたのは、想像していたのと全く違う、若い女の子だった。
 

 ヤナテトシム大国の事件を解決すべく呼び出された勇者の彼女・名は妙子で年は十七歳と、その妙子を呼び出した本人、魔導師エカーチェフもまた、若干十八才の若者だ。それでも高等魔導師の任命を受け、彼自身はそれを鼻にかけことなく、とことん謙虚に王宮に勤めている。
 器用に《魔導》なら何でもこなす彼にとって、要領の良さだけは身につかないらしい。
 二人が何事もなくたどり着いた所は、コハタと呼ばれるソハコサとヤナテトシムの国境付近にある温泉町。
 ここから報告のあった消えた街とはすぐ近くだった。
 普通の魔導士の、紺色の法衣姿ならソハコサの国ではありふれているが、魔導師としての法衣色である深緑色は目立つため《魔導》を使うとき以外は、形を変えて羽織っている。
「あーあ。普通の女子高生なのに、なんでこんな事……」
 ぶつぶつと文句を言いながらでも、行動しようとしているからまだましだ。しかし、何にしたってエカーチェフの気苦労が増えることは間違いない。
 何で、彼女のような人が勇者として召喚されたのか不思議である。それとも、自分の《魔導》が力及ばなかったからなのだろうか…と不安にもなる。
 コハタはたくさんの温泉が沸き出ていて、町全体が蒸気に包まれている。そのためだろう、とにかく蒸し暑い。
「何なのよ、この暑さ。これならまだ日本の夏の方がマシよ。エアコンが欲しいー」
「えあこん?」
「そう。スイッチひとつで快適な温度の空気が出て来るの」
「それは便利ですね」
 妙子の無駄話にもまじめに付き合っている。温泉町を訪れ、すれ違った旅の者が不審な目を二人に浴びせながら通り過ぎている。
 でも恥じらいなんか殆ど捨ててしまっているような妙子と、鈍感なエカーチェフは気付かない。
「今日はここで休んで、情報でも集めましょうか」

「え、本当!? わーい、温泉だ温泉だぁ」

 やけに張り切った声を出す。
「遊びに来たんじゃ……」
「だって、聞き込みなんてしたことないし、できないもん。一緒にするよりエカーチェフだけの方が、効率が良いと思うよ、私は」
 びっしりと、どこからそんな根拠などあるのか言い切って、もう通りの温泉宿を探し始めている。
「ちょっと。妙子さん。あなた勇者なんですからね」
「自覚ないもーん」「妙子さん!!
 エカーチェフの制する声など無視して駆けて行く。結局、彼女の後を追いかけて行くはめになってしまい、溜息をついて、追おうとした矢先の出来事。
「きゃあー!!

 突然、彼女の叫び声がしてきた。


                                          【つづく】

てことで。
実は現代とパラレルワールドだったんですよww

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2010/09/12 23:04
ありがとうございまーすっ

くまさん、おしいっ><
もう少しで3話一挙掲載だったのに(笑)

妙子は自分だったら、どうかな~~みたいな感覚で書きました。←当時私も女子高生♡
実は名前も私の本名をもとにしてとってますっ タエコじゃないけどね
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2010/09/12 09:28
久しぶりに来たら2話一挙掲載っ!

これから女子高生で何ができるんだろ~?
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2010/09/11 21:31
温泉町。。。温泉・・・いいでふねぇ~~~~~♪♪ ←・・・って、おいっ!!

県内の某有名温泉街を思い浮かべてしまいましたよ。。。(汗汗);; 鬼怒川とか・・・川治とか塩原とか

。。。そんなことよりっ! ごくごく普通な高校生の妙子ちゃんが 「勇者」として選ばれたのか・・・??

今後の展開が 楽しみですっ♪♪ 
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2010/09/11 20:34
次が楽しみです┃電柱┃_ ̄) ジィー・・・・・・
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2010/09/11 19:40
ホントだww数行追加されとるw
妙子どうしたΣ 私が勇者でも、妙子と同じかも...
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2010/09/11 19:34
雫さん…早すぎでーすww
まだ修正途中でしたー・・・

コメント後に数行、追加になりましたww
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2010/09/11 19:31
やった!第2話あるーbb
エカーチェフは鈍感...イイキャラだ←
現代とパラレルだったんですねー
次回も楽しみにしてます☆




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