創作小説「ソハコサ国の勇者」10(最終話)
- カテゴリ：自作小説
- 2010/09/18 23:31:08
「平行世界シリーズ」本編
ソハコサ国の勇者
第10話 最終話
「いいですか？ 自分が元いた場所、時間を思い出して強く念じて下さい」
妙子が最初に現れた塔の最上階。
〈魔方陣〉の中。
目前の彼は魔導士のエカーチェフだ。
印を結んで、返還の呪文を唱えている。
召喚された時と同じ状況。
邪魔にならない部屋の端に、魔導師達も立ち並ぶ。
「自分の元いた世界を思い出して下さい」
〈返還の法〉。
立ち並ぶ高層ビル。
ひしめき会う人々。
描き出す思い出が現実身を帯びて溢れてくる。
元の世界…自分の世界を。
〈魔方陣〉が輝きだし、妙子に浮遊感を与える。
「妙子さん、さよならですね」
「そうね。やっと帰れるわ」
しばらくの無言。
「今回の私って何だったのかしらね」
「勇者でしょ」
「そうね。でも、本当の勇者はあなたでしょう？」
エカーチェフは何も答えない。
「あなたがいるから、こんな私が呼び出されたのよ」
何もできないただの自分。
彼の存在感を消してくれる程の存在感を持った自分。
「でもあなたは十分、勇者でしたよ」
本当の自分に誰も気付かない。
ほっとする反面、それは淋しいものだから。
それを見破ってくれたのは少なからず嬉しいものがある。
「………バレないように気を付けなさいね」
「当たり前」
ふっと本来の彼が顔をのぞかす。
「妙子さんのこと、結構気にいってましたよ」
にっこりと、良い子のエカーチェフくんが笑顔で言う。
「サヨナラの握手くらい、させてあげるわよ」
妙子の差し出した手を苦笑しながら取ったエカーチェフは、そのまま口元に寄せて、甲に口付する。
「！」
上目遣いに妙子を見る彼は、人を食ったような笑顔。
〈魔方陣〉は一層輝きを放って、転移返還を実行する。
気のきいた言葉を言い返すことなどできない。
「こ、この、卑怯者ー！」
果たして妙子の叫びは彼に届いたのかどうかは、謎だった。
エピローグ
「妙子、おじいさんの物が見つかったからあげるよ」
そう言って祖母がひとつの首飾りを差し出した。
長いチェーンの先に透明な水晶がついているシンプルなペンタント。
「よく欲しがって、おじいさんを困らせてたものねぇ…」
幼い頃、祖父の膝で話を聞いていた時に、触らせてもらったもの。
『これは…恩人から貰ったものだから、あげられないよ』
と、祖父は優しく笑ったものだった。
『ゆうしゃとおともだちになる！』
幼い日を思い出して妙子は笑みを浮かべた。
「コレはおじいちゃんとの約束を守った、ご褒美なのかな？」
水晶を見つめながら、魔法使いの王子様を思い描き、声を出して笑った。
【ＥＮＤ】
てことで終了でーす。
エカーチェフくんの正体、誰だか想像ついてました?(笑)
こんな話だったんですよ。
だから山ほど番外編がでてきてしまったんですww
続きの本編はまだ書けておりません。私の頭の中では完成してますがww
あえて、続きが気になるように終わらせるためのヒキの言葉を選ぶなら、
妙子が次に見た彼の姿は、
血に染まり、固く瞳を閉じた姿だった――
だろうかなぁっ はははは←鬼っ
少し休んでから次はまた「平行世界」の小説を載せる予定です。
「WANTED」
隣国で自分の名前に賞金がかかっていると聞き、テニトラニスからカルマキル国に向かう娘の話。
そのあとは、エイーナ特集だ(爆)
うーんｗ
好みの殿方がたんといて困りまするｗ
ふふ、贅沢なﾅﾔﾐ～＾＾
ただ・・・ エカーチェフくんは作り人で 本当は エイーナくんだったってコトは。。。これまた（笑）ｗｗ
あたし的には エイーナくん・・・いいでふねぇ～～～～～（笑）ｗｗ 妙子ちゃん 可愛い♪♪ あはは
またまた ゆっくり 読みに来ますね～～～～～♪♪ ありがとうございましたっ！
次回の「WANTED」も楽しみデスw
妙子はすでに『力』を使っていたのかー
お話の完結 お疲れ様！
次回も楽しみです
色々カモフラージュされてた結果なのですね。
面白かったですよー。次も楽しみにしてますの♪
エカーチャフと妙子、くっつかないｋ(
次回も楽しみに待っております♪