Nicotto Town


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パルパティーンに見るスター・ウォーズの描かれ方

皇帝パルパティーン。

スターウォーズ最大の黒幕ですね。

もっとも、最後は反応炉に落とされるという結末で
終わりました。

クローンもいたみたいですが、それはそれで始末されます。
映画では、反応炉に落とされて終わりです。

そのモデルは、カエサルとも言われています。

スターウォーズは、ジョージ・ルーカス脚本です。
ジョージ・ルーカスは、ギリシャ神話などを基に
スターウォーズを作ったと言われます。(むしろ本人談)

ジョージ・ルーカスは何を描きたかったか?
スターウォーズに隠された平衡の象徴と真意とは?

それを見ていきたいと思います。


スターウォーズは、フォースの概念が基調になっています。

そのバランスとも言える世界観と、古典に見る調和の世界。
その調和こそが、物語の基調です。

バランスが崩れるとき、悪は生まれ、
同時に英雄が生まれる。

英雄によって悪は呑まれ、
そして銀河に平和が訪れる。

英雄は悪を呑むので、死んでしまいます。
もっとも、ダースベイダーという元から半分死んだ状態での
身投げで、物語は完結します。

身投げというのは、皇帝パルパティーンを反応炉に放り込んだ
シーンのことです。

場面の象徴としては、
悪の黒幕の側近が、ボスを反応炉に投げる。
悪の側近は、その際に致命傷を負ってしまう。

悪の側近の息子は、実は英雄の子。

その悪の側近も、選ばれし者で英雄。

悪に身を投じることで、銀河にバランスをもたらす。

銀河にバランスをもたらすことで、
世界には平和が訪れる。

善・悪を超えたひとつの、「フォース」という概念のもとに、
ダースベイダー(アナキン・スカイウォーカー)は
悪に身を投じるのです。

もちろん、フォースの意思に選ばれて、
悪を内側から破壊する構図なのですが、

実際は、本人は自覚できないまま
運命に翻弄されます。

自覚がないままに、
フォースに選ばれたアナキン・スカイウォーカーは
妻を死に追いやり、悪に身を堕とすのです。

悪に堕ちた過程は、二つあります。

ひとつは、パルパティーンに闇の力について
そそのかされたこと。

もうひとつは、自らの欲のために
身を滅ぼしたということです。


妻の死を予見していたアナキンは、
死の淵から救うため救済策を探します。

銀河元老院議長だったパルパティーンは、
「計画」の“花形”に華を添えるため

アナキンを悪に誘惑します。

フォースのダークサイドの力を手に入れれば、
妻を救える。

生命を作ることすら可能なのだ、と。

アナキンを誘惑するのに使われた
ダークサイドの知識は、

パルパティーン(ダース・シディアス)の師の技術でした。
パルパティーンはその師の寝首を掻きます。

その後、パルパティーンは「計画」を実行するため
一議員になりすまし、

やがては謀略によって元老院議長の座まで登り詰めます。

アナキンの「不安」は、

結局は心をゆがませ、
悪に身を堕としてしまします。

パルパティーンの手先になったアナキンは、

正義の象徴、自らも所属していたジェダイを
抹殺します。

妻が死ぬという悪夢は、
結局自分の守りたいという欲望のために
為されてしまいます。

悪に身を堕としたアナキンに絶望した妻・パドメは、
アナキンに殺されかけたショックで死んでしまいます。

そのとき身ごもっていた双子が、
のちにパルパティーンを倒す際の“英雄”になるわけですが、

アナキンは、自らの恐怖のために
妻を死なせ、悪に堕ちてしまいます。

自分の師であるオビ=ワン・ケノービと決戦を演じた際、
元から義手だった左手(右手?)を除いて腕、脚もろとも失います。

瀕死のやけどを負ったアナキンは、
パルパティーンの手によって機械のサイボーグへと「改造」されます。

以上がダースベイダーの成り立ちです。

悪に堕ちたアナキンは、
一見自らの過ちで破滅の憂き目にあったとも
見えますが、

大きな意味ではフォースの意思に導かれて
悪に身を堕とし、内側から破壊したともいえる。

光と闇のバランスを重んじるスターウォーズの世界観では、
アナキンの行為・成り行きはある意味作品の基軸になっています。

結局は悪と善のバランスが成り立って平和が訪れる、
というストーリーなのですが、

パルパティーンはいわゆるその「悪」です。

アナキンは、その悪の手先として虐殺などの悪事を働きます。

パルパティーンは権力だったわけですが、
その権力はアナキンの息子、ルークによって破られます。

英雄が人柱となって悪を破壊する構図なのですが、
作品の基調は、ギリシャ神話などの古典です。

世界で語られてきた物語が、ひとつのSFとなって帰結した。
スターウォーズの基本は、そこです。

で、その中でパルパティーンは悪の象徴なわけですが、

他のSF作品などと違って目立つのは、
まったく完璧で抜け目のない悪役だということ。

他の作品では、
欲望に走ったり自らの欲を満たすために
殺戮に走るパターンが目立ちますが、

パルパティーンは最初から最後まで
抜け目がありません。

それこそ、最初から最後まで悪です。

しかも、死に方も悪役らしい。

クローンまで作っているという時点で、
悪役そのものです。

もっとも、そのクローンは始末されたみたいですが、
最初から最後まで計画に抜け目がない。

まさに、完璧な悪役なのです。

で、その悪役をなぜジョージ・ルーカスは描いたか。

スターウォーズの関連本ではあまり取り扱われませんが、

おそらく、アナキンの悪の堕ち具合を埋めるために
真の悪を描いたのではないか。

不完全な、悪ともいえるアナキンは、
実際、その後の悪事でも躊躇する場面が見られます。

一方、パルパティーンは完全な悪です。

自らの計画に抜け目なく、
ほとんど完璧に遂行します。

問題は、それが悪だったということで、
結局は権力という自らの欲のためだったのです。

SF作品では一番目的意識の強い悪役ともいえます。

もっとも、作品中ではそれもがフォースの意思という
捉え方もできます。

アナキンはフォースの意思によって生まれた英雄ですが、
(父親がいません)

すべての生物はフォースの影響を受けているので
パルパティーンの行動ですら、フォースの一部だったとみられます。

解釈によって見え方が変わるのが
この世界、物語の魅力でもあったりするのですが、

パルパティーンの行動は、
物語的には象徴的な悪です。

みずからの行動を、
象徴として美化する。

まるで権力の象徴として振る舞ったからこそ、
最後も悪らしい死に方をしました。

死に方はどうでもいいのですが、
重要なのは権力の象徴という描かれ方をしたことです。

結局は物語の軸が基準になるので、
バランスをもって描かれます。

ストーリーラインの軸上にあるものは、
すべてバランスが軸です。

どんな善も、悪も最後はゼロに戻ります。

すべてが平衡。

これが、スターウォーズのストーリーラインです。


スターウォーズは、バランスがストーリーラインになっています。
そしてパルパティーンは悪・権力の象徴です。

描かれ方としては、現在の為政者にも通じるものがある。
作品中でも、民主主義を排して帝国を立てるという、

現在でも十分あり得るストーリーラインになっています。

ジョージ・ルーカスは何を描きたかったか。

おそらくは、ストーリーのバランスです。
すべてのものは、バランスで成り立っています。

バランスがあるからこそ、世界は成り立ちます。

スターウォーズは、その世界のバランスのメタファー(喩え)だったのでしょう。

バランスこそが、作品の象徴で
作品の軸は、バランスそのものだったのです。





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