Nicotto Town


「時のかけら」


創作小説「雷獣」(9)最終話

雷獣~復活遊戯~



第9話 最終話 


 
別室で待っていた戯加の元にエンユとクルトが戻ってきた。

  定例会議で邪法士に造られた“雷獣”という存在の戯加の対応について王宮から戻って来た法術師クウマのもと、話し合いが行われたのだ。

 あれだけ派手に街中で戦っては、隠すことなど不可能だ。
エンユとクルトの他に、沙羅、そして沙耶が入ってきた。
「沙耶さんも来られてたんですか?」
「エンユを着飾るって言うから付いて来たのよ」
「つーか、コレ重いよ」
「北院の正装だから仕方ないでしょ」
 剣術を学ぶ北院だけあって対剣術用の肩や胸当てなど、簡易な装備になっている。
 初めて見る豪華な正装姿だが、結構似合っている。
 しかし、格好に頓着しないエンユはもういいだろうと邪魔だとばかり外していく。
「ちょっと、脱ぎ散らかさない
でよー」
 脱いだ衣服を沙耶が慣れた様子で拾い集める姿はまるで夫婦。ま、それに近い間柄ではあるのだが。
  緊迫して不安な表情をしている戯加にエンユは視線を向ける。
 「エンユ様……」
 「大丈夫だ。今まで通りのまま」
  簡潔な一言。
 「え?」
 「実力勝ちですね。私たち二人が責任を持ってあなたを監視するということで、納得していただきました」
  クルトが説明を付け加える。
 まだ飲み込めていない戯加に
 「文句があるならお前達が相手になってみろ? と脅しただけ」
 「脅したなんて人聞きが悪い。私たちが抑えられないものを貴方たちが抑えることができますかと問いかけただけでしょう?」
 「それを脅しと言わずになんと言う?」
「とりあえず、誰にも口出し無用と許可をもらったから、大丈夫ですよ」
と沙羅がまとめるように言う。
 彼らから信用を勝ち取るために、エンユを立派な北院長風に仕立て上げ、周囲を固める補佐として、年寄り共の記憶も深い先の法術師の孫である信用度の高い沙羅を傍に置いたのだ。
 このメンツで危険だ無理だと唱えることは、法術士の力が邪法士たちに劣ると公言するようなもの。邪法士を見下す傾向にあるのは口の達者な頭の固い者たちばかり。
 結局、口を閉じることしか彼らの選択肢はなかったのだ。
 説明を聞きながら…なんか問題発言ばかり聞いた気もするのだが、捕らえられたりエンユの立場が悪くなったりといった事態ではないと判って戯加は一安心した。
「だから、今まで通りでいいんだよ」
 エンユが自分にかけていた首飾りを外し、戯加の首にかけてやる。
 先には邪法魔獣使・瑙羅から奪った琥珀の石が結び付けられていた。
「自分の思った通りに動けばいい」
 雷獣の自分を意のままに操ることの出来る石を渡すということは、戯加自身に最大の信頼をしているという証。
 エンユの行為を後押しするように頷く周囲の者の顔を見返して、戯加は笑った。
 「はい」
  石を握り締め、晴れ晴れとした元気な返事を返した。


                                                       【END】                             
2005.1.6 




最終話をお届けでーすww
終わりましたーーコレで終了ですww
ていうか、サブタイトル?の「復活遊戯」って何??
皆さまのご想像の通りでございますww
ショートストーリで
延ばされた手~復活遊戯~
ジオラの記憶~復活遊戯~
がありますのよwww
 

アバター
2010/11/30 09:29
落ち着いて読める環境で第1話から
いっき読みしたかったので、今日まで
我慢してました~^^;
いま読み終わって、大満足です♪
あきさん^^お疲れ様でした!

あきさんの描かれるファンタジーは貴種流離譚の王道で
読んでいてとても楽しいです^^
アバター
2010/11/29 18:01
なる
(^^)
アバター
2010/11/28 22:39
ねぇねぇ
もちろん、この物語は『序章』ですのよね?
戯加が成長した、そりゃもう波乱万丈な物語が
つづくんですよね?

期待大でお待ちしておりますです。w
アバター
2010/11/28 12:13
戯加、良かったなぁ〜(*>ω<*)
お疲れさまでしたゞ
でも終わるの早すぎますよー(´・ω・`)
2つのショートストーリーも是非読んでみたいです
次回作も楽しみに待っております♫




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