はちみつ
- カテゴリ:自作小説
- 2011/04/05 20:38:20
はちみつって、ハチが集めるお花の蜜。なのだと思っていたのだけど。
この街では、私たちもハチのように花の蜜を集める事ができるのだそうだ。
早速、花の蜜を集める器具を手に入れて、中央にある広場の花壇に行ってみた。
ストローのようなものでハチのように花の蜜を集めて瓶に詰めるのだ、ということで。
やってみました。
ちょっと、とっても、楽しい。
ハチではなく私たちが集めているからかしら。
普通のはちみつと違って金色ではなく、薄紫のはちみつと、桃色のはちみつと、黄色のはちみつを採る事ができた。
その色とりどりのはちみつが、とても不思議。
瓶に入れて棚に並べてみたら、可愛らしくて。
食べるのがもったいないなぁ。と思いつつ、でもその甘く美味しそうな花の匂いにつられて。
早速、使ってみた。
お店で出す予定のフレンチトーストに、黄色のはちみつをたらしてみる。
黄色はどうやら蒲公英の花の蜜みたい。
甘い卵液が浸みこんだフレンチトーストに、ほんの少し素朴な蒲公英のにおいとよく耕された土のようにしっとりとした甘味が丁度良くて。思っていた以上に美味しい仕上がりに、にまにましながら平らげてしまった。
なんだか懐かしい気配を感じる味だったな。
今のうちにはちみつを沢山採っておいて、お店で使えるようにしておこう。