得意だった事
- カテゴリ:自作小説
- 2011/04/07 18:35:15
気を張っていたものが、ほんの少し途切れてしまって。なんだかお散歩が億劫に感じていたから。
今日は一日、家の仕事をしながらのんびりと過ごした。
今日も良い天気だったから、シーツやカーテンとかの大物を洗って。冬服や靴の手入れをして。本やこまごましたものを陰干しして。
その合間合間で、小さい頃にもらったお手紙なんかを読みふけったり。洋服の組み合わせを考えて一人ファッションショーをしたり。疲れたなあと、カフェオレとクッキーでひと休みをしていたら少し転寝をしてしまったり。
全開にした窓の脇にクッションなんかをもふもふと置いて、そこでうとうととお昼寝をしたのだけど、なんだかとても気持ちが良かった。
窓の外は淡い水色の空。
咲きそろった桜の花は、ひらひらり、と柔らかな日差しの中、落ちていく。
洗ったカーテンが、石鹸の爽やかな匂いをさせながらゆったりと風に揺れて。
そんな中で夢と現の境目を行ったり来たりしているうちに、なんだか私の中で不安定に揺らいでいたのがなくなっていた。
そんな感じでうとうと。目を覚ましたら夕方になっていた。
温かかった空気が夜に向かって静かに落ち着いていく中、庭の草木にお水をあげるために外へ出た。少し元気が無い子に肥料を与えていた時、ふと、家の脇に生えている大きな木に登れるんじゃないか。と気がついた。
小さい頃は木のぼり、得意だったけど。できるかな?
そう思って、ちょっと登ってみた。
子供のころに比べて私の体は大きくなっていて。重くなっていて。
だから無理かな?と思ったのだけど、案外するすると登る事が出来た。
ちょっと、とっても、嬉しい。
木の上で、太陽が西の空にゆっくりと落ちていく様子を眺めて。
そうして、さて降りよう、としたら降りられなくなってしまって。
少し困ってしまって。
子供みたいに、えいやあ、とちょっと高いところから飛び降りたのは内緒。