きらきら
- カテゴリ:自作小説
- 2011/04/21 21:08:29
この街は、狭いようでいて、とんでもなく広い。
何度も場所を通っているはずなのに、新たな路地を見つけたり。
もう一度行きたいな。と記憶をたどって道を歩いているのに、同じ場所に辿りつけなかったり。
迷子になって、帰り道が分からなくなって、途方に暮れても。
なんとなく細い小道を進んで階段を登り切った先に、見知った風見鶏や雑貨屋さんの軒下を見つけて。そうして無事に家に帰る事が出来たり。
いっつも新しい発見があって。本当に、不思議。
今日も、そんな感じだった。
ちょっと用事があって街の中を出歩いた、その帰り道。
夕暮れ時の、たそがれ時。
オレンジの光に満ちた大通りを歩いていたら、その横に伸びている路地から、なにか高い音がかすかに響いてきた。
カチン、チャリン、シャラン、って微かに響く、きらきらした音。
好奇心に背中を押されて、路地の奥に進んだら。周囲を背の高い石造りの壁に囲まれた小さな中庭みたいな場所で、おじさんが二人、テーブルを挟んでゲームをしてた。
箱の中に入れられた、色とりどりの宝石を鳴らすゲームなんですって。
こうやるんだって、おひげのおじさんが透明の石を指先でつついたら、チリンと鳴りながらくるりと動いた。
そしてチリンチャリン、と共鳴するように、周囲の石も鳴りだした。
面白そうだったから、私もちょっとやらせてもらったよ。
ちょん、と桃色の石をつついたら、チリンとやっぱり涼やかな音色を響かせてくれて。
嬉しくなって、あちらこちらをつついたら、チャリンシャラン、シャララン、って白い火花を散らしながら、あちこちで鳴りだして。
狭い中庭の中で、音が反射して響き合って、まるできらきらと宝石たちが音になって降り注いできたような気分になった。
お嬢ちゃんは石たちに好かれてるなあって、ぼうしのおじさんが褒めてくれた。
なんだか嬉しかったな。
おみやげに、碧い石をもらっちゃった。
また、あの中庭に遊びに行けると良いけれど。今日と同じように辿りつけるかな。
コメありがとうございます~☆
日記だと情景を書くのがなかなか難しかったです^_^;
たそがれ時は普段の情景が違うものに見えて、その不思議感が好きです
そうです、カノンの宝石です^^
連鎖ができると、凄く嬉しいんですよね~☆
夕暮れに迷路になる街。
でも心細くはなくて、どきどきする何かが隠れてるような。
アオイさん、「カノンの宝石箱」をやったのかな。
あのゲームの音、綺麗でいいですよね^^