花束ではなく銃をください
- カテゴリ:自作小説
- 2013/05/10 08:52:14
目の前を足を引きずりながら
もう片方の足をかばいながら歩く少年が
行きすがる……。
傷ついた片足を、まるである足のように……。
ここシエラレオネでは普通の光景だった……。
明日なんか、見えやしない……。
なぁ、兄弟。そう思うだろ……?
ふと、隣の奴に片言のテレパシーで話しかけたが……。
あいにく通じないみたいだ。
まぁ、よくある光景だ……。
そう、思った。そうするしか……なかった……。
体に立て掛けたAK銃を、
手でもてあそびながら
銃口に何か入っていないか確認する……。
暴発したら、ひとたまりもない……。
引き金もそれ自体もかなり重い銃だったが、
身を守るには役立つ……。
少なくとも、丸腰はありえない……。そんなのごめんだ……。
さっきの少年“兵”が……引き返してきてニヤっと笑う。
お前それで……笑えるのかよ……。気が知れない……。
笑い返してやったが……いいのだろうか……。
ここアフリカには、教育がない……。あるのは差別だけだ。
白人は教育を持ってこない。地雷と銃だけだ……。
ふと暮れかけた夕日が、この土地の未来を暗示しているようだった。