マルケス・デミストリス-明朝
- カテゴリ:自作小説
- 2013/05/20 20:05:55
ベルリンでは、食料が枯渇していた。
輸入はある。だが郊外の農作地は壊滅的な打撃を受けていた。
干ばつがあったのだった。
酒もない。豆もない。牛乳すらなかった。
市場に出回るのは、小麦だけ
だがそれでもよかった。食べるものはある。
病院は病人で一杯らしい。こないだの戦傷者もある。
郊外は戦死者の墓場でいっぱいだった。
武器もないと聞こえる。
次戦争が起こったらどうするんだ。
政治の混乱は、市民生活を直撃していた。
市庁舎に戻るとしよう。
市場から庁舎までの戻るすがら、
リンゴをねだる子供や馬車に群がる群衆を
見て回った。
この町の市民は微笑ましい。
この状況でも、希望を失わないのだ。
山あいの町は穏やかだと聞く。
疎開先にいいかもしれない。
今度行ってみようかな。
オランダは景況らしい。
商人を呼ぶ準備もしなければ。
ドイツの町にビールでたけなわの声が
聞かれるのも、
そう遠くはなく思えた。
庁舎前では楽しげな光景が広がっている。
こういう状況も、悪くない。
そう思った。
終わり―――
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- まいまい
- 2013/05/21 12:49
- 終わるんだ…('-'*)
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