マルケス・デミストリス-暁愁
- カテゴリ:自作小説
- 2013/06/01 20:30:51
私は首都郊外の市場に来ていた。
品物は全部傷んでいて品が悪い。
店主に聞くと、
「知りませんよ」らしい。
ああそうですか、
品物が悪くっても知りませんよか。
この男、年40過ぎの割には
せこいところがあるようだ。
手持ちはわずかな小銭しかない。
教会からはお金が出ないのだ。
わずかなお金がチャリンチャリンと鳴る
小銭袋に手を突っ込み、
懐の狭さを呪った。
この町にはもうすぐ橋が出来るらしい。
郊外の村とも道がつながって、
往来が活発になれば再建も早いだろう。
ともあれ、あの傷んだリンゴは見てられない。
それがなんとかなるのも、もうすぐだ。