マルケス・デミストリス-寵愛
- カテゴリ:自作小説
- 2013/06/01 22:09:19
食料輸送の任務は、退屈だった。
はなから期待してなかったが、
疫病がうつる可能性も考えると
笑いごとじゃなかった。
あの上官はよくも平気だ。
俺ならこんなのには耐えられない。
とっとと投げ出す。
任務?知ったこっちゃないね。
食料を下すのを手伝ってりゃいいだけだ。
俺の仕事は、帆の担当だし
荷物係じゃない。
もちろん、弾薬や物資の積み荷係りは
食料を下す作業に前向きじゃない。
まるでこの国には他人を救う余裕がないような、
そんな感じだ。
大砲の手入れのほうが、まだ癒される。
撃つことのない大砲のほうが、
下したくない食料よりはましだった。