Nicotto Town


ふぉーすがともにあらんことを、あなたにも。


プロメテウスⅢ

ちょうど建物を地下から出ようと思った
その時、

3つ離れた建物に
ブラックホークがホバリングした。

表で怒鳴り声と
なにやら携帯電話で大声を出す声がする。

あわてて地下に滑り降りると、
さっきの隊員が本部に報告を入れていた。
「エコー、エコー。こちらアルファ攻撃隊。

ユニット77が狙われている。
至急路地を確認しろ」

―「了解アルファチーム」
本部の無線の声が
イヤホンの“中だけ”で響き渡った。
もちろん、本部では大声で響き渡っている。

UAVが掃討するはずだったが、
攻撃前にあらゆる意味で
ドンパチするのはよくない。

前線前に配置された海兵隊が
照明弾を1本向こうの通りに撃ちこんで

さっきの若者の気をひいた。

「撤収するぞ」―

無線から隊長の声がした。

「じゃぁ、行こうか」
小声で隊員に声をかけた。

表で銃声がし始めていた。

たぶん1本通りを挟んだ向こう側だが
装甲車の50口径とAK特有の
甲高い銃声が

夜のスラム街に響いた。
「爆破するか?」

隊員が聞いたが首を横に振った。
「いや、いいだろう。
気をひくより撤退が先だ」

「よし」
隊員は頷いた。

駆け足で悟られないように
地下用水を逆に走り出す。

途中上で武装勢力の声がしたが、
構わず突っ切った。

元いた場所に角を曲がればすぐ―
といった間合いに、

さっきの
ブラックホークとおぼしき
機体のほうから、

爆音がするのが聞こえた―。

ウィン、ウィンとプロペラが
不規則回転する音が聞こえ―、

まもなく下の建物の角にプロペラが
衝突して

粉々に割れる音がした。

周辺の建物の上壁に
フィンが突き刺さる音がする―。

「ユニットダウン。墜落する―」
無線で待機中のシールズ隊員が
口早に告げた―。

バリバリと轟音を立てながら
機体が建物にぶつかる音がする。

なんとか持ちこたえているようだったが、
すぐに建物に沿って引きずられる形で

ブラックホークは墜落した。

「こりゃ、騒がしくなるぞ」
さっきから先導していた
隊員に告げた。





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