Nicotto Town


ふぉーすがともにあらんことを、あなたにも。


それでも戦場はまだ続く。

ドドドドドドッ

戦場に重機関銃の音が響いた。

パラパラパラパラ……

薬きょうの落ちる音とも
小銃の銃声とも知れぬ音に

戦士たちは歓喜した。

「ヒャーーホゥ!」
一人の兵士は
重機関銃を撃つのに
夢中になっている。

が、その二秒後

バタッ  ガタッ

掩蔽壕の中に、
その兵士は血を流して倒れ込んだ。

「衛生兵!」
それをそばで見ていた兵士は
叫んだ。

「ダメだ……こいつは……。
頭を撃たれてる。もう死んでる」

衛生兵のロビンソンは
こう告げた。

そうしてまた戦火の中に戻っていく。

「なんて様だ!」
さっき衛生兵を呼んだ
ジャックはこう叫んだ。

「畜生、助かるかもしれねぇのに」

「ダメだ、こいつはもう死んでる」
僕は言った。

「助からないさ。頭を撃たれてる」
自分でも冷静なのか、
なんなのか分からなかったが

とりあえずそう告げた。
乱戦の中遺体をどかす手間もなく、

とりあえずさっき倒れた兵士の
ポケットやら装帯やらから
弾薬などが抜かれていく……。

病院で暴発したら困るから、じゃない。
弾薬がないと困るから、だ。

そうして日は傾き、
泥沼の争いは終焉を見ないように
思えた。

ふと前を見ると、
一匹の軍用犬が煙の中に走り込んでいく……。

5秒後、爆弾の起爆装置をくわえて戻ってきた。

その瞬間、爆発が起き
その犬は反動で起爆装置を
取り落してしまった。

「おい、ジェイク。出番だぞ!」
さっきから撃ちまくってるジャックが言った。

「は?何を言ってるんだ?」
急な申し出に僕は動揺する。

「急げ、ほら行け!」
ジャックに尻を押されながら
掩蔽壕を這い出ると、

十字砲火の中
ほふくして起爆装置の方向に向かった。

2m先では、
さっきの軍用犬が
起爆装置を見失って
辺りを探している。

50m手前からは
敵の据え付けられた機関銃が
こっちに向かって撃ってきていた。

「危ない!」
そう叫ぶと
その軍用犬は
びっくりしたように

慌てて自陣の方向に戻り、
そしてまた戻ってきて起爆装置を
探し始めた。

「Bゾーン756、迫撃砲!」
僕は後ろにいる援護兵に叫んだ。

「了解だ!ジェイク」
後ろでジャックがこっちに
親指を立てたのが見えた。

とりあえず起爆装置を探さなければ……。

そうだ……橋を爆破するんだった。

「敵戦車!」
後ろでジャックが叫んだ。

「まとめて吹っ飛ばしちまえ!」
援護兵が無線で砲撃要請をする
手伝いをしながら、

ロドリゴがそう叫んだ。

「急げ!バズーカが切らしてる!」
ジャックが慌てて叫んだ。

「おいおい、ウソだろー」
ひとり言をいいながら、

ヘルメットを押さえて
前へ這いつくばる。

ふと、さっきの犬が
起爆装置をくわえて
戻ってきた。

「よしよし、こっちにおいで」
僕はそうほふくしながら
手招きした。

犬には聞こえていたかは
分からないが、

とりあえずこっちに
起爆装置を持ってきてくれた。

「よし、これで起爆できる」
急いで起爆装置を
“受け取る”と

犬の首輪を掴みながら
慌てて掩蔽壕のなかへ

戻った。

「セクター756!起爆する!!」
僕はそう叫んだ。

「爆発するぞ!!」

ヒューンと飛んできた迫撃弾が
敵の機関銃を押し潰した。

と、同時に
一斉に地響きが起こるような
爆音と共に

目の前の戦場は
土煙と砂嵐に見舞われた。

「ドーーーン!!」
ロドリゴはご機嫌そうに言った。

「敵陣を吹っ飛ばしたみたいだ」
さっきの援護兵はそう言った。

「よくやったな、ジェイク」
ジャックが襟首を掴んで
僕をそっちのほうに抱き寄せた。

「いや、この犬のおかげだよ」
僕は慌てて、掴んでいた犬の
首輪を手放した。

犬はうれしそうだったが、
また元いる主人のところへの
道を探しているようだった。

「ほら、あっちだ」
ジャックが向こう側を指差していった。

「あっちがおうちだぞ~」
犬は指差された方向へ
足早に掩蔽壕の中を向かっていく。

「やったな、ジェイク」
ジャックが言った。

「勲章ものだ。
あとでちゃんと報告しとかなきゃな」
ジャックがそう言い終わるか否か、

また掩蔽壕のすぐ外で
今度は迫撃砲弾が炸裂した。

「おおぅっと」
ジャックはよろめきながら言った。

「まだ終わってない」
僕はそう言った。

掩蔽壕の手前まで、
味方駆逐戦車が前進してくる。

今日の戦果は大戦果だった。
一番手は犬だが、

後で司令部に
僕の名前も貼りだされたらしい。

まぁ、どうでもいいことだ。
戦場はまだ続くのだから―――。


〈Fin.〉

アバター
2013/07/03 17:53
のどかにするつもりはありません
でしたが、

テンポとまとまりを考えたら
こうなってしまったのです~b
アバター
2013/07/03 17:43
戦場でありながら、なんだかのどかなところがいいのかな?w




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