ガンズ・アンド・ローゼズ 3
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/13 08:01:00
現場を洗い終えたSWATは、
とぼとぼとバスの方向へと引き返し始めた。
各隊員はそれぞれヘルメットを脱ぐ。
もちろん、バスの陰で、
人目につかないように、だ。
マクミランは無線に向かって
なにやら話し込んでいる。
ジョンは他のSWATのマーカスと
なにやら談笑していた。
ふと―――いつしか見た夢が
よみがえる。
確か、こうしてくつろいでいる時に
RPG(ロケット弾)が飛んでくるんだったけな……。
デヴィットはだいぶ“狙撃部隊”のやつらに
こってり絞られたようだが、
日差しで汗ばんだ額をかきながら
こっちへ向かってくる。
「あっというまだったな」
デヴィットは言った。
「ええ、そうね」
私は返す。
「あんたがお守りしておいてくれた
せいか、
きっちり働いてくれたじゃない」
「そうか?」
「あとでたっぷりお礼しとかなきゃね」
私は言った。
「あいつら、最近ワイン欲しいようなこと
言ってたぞ」
デヴィットは言った。
「へぇ、お酒はダメだから
ウィスキーにしとこう。
さすがに飲めないだろうし」
私は笑った。
「ウィスキーなら、
蔵酒にはぴったしだな」
「えぇ、手当にも使えるわよ」
「山に行くみたいなこといってたから、
ウォッカはどうだろう」
「それじゃみんなで分けられないわ。
ウィスキーにしときましょう」
私は言った。
「お土産なら、そこの角のケーキでいいぞ」
狙撃部隊の一人が、不意にこっちに立ち寄って言った。
「それから、紅茶を頼む」
奴は走り去った。
「えぇ……わ、わかったわ」
「あいつら、女の前だとこうなんだよな」
デヴィットは言った。
「狙撃部隊は、糖分と女に弱いのさ」
ジョンが不意に会話に割り込んで言う。
「それに、安上がりだから
俺のも頼む」
ジョンは頼んでその場を去った。
「ひどいわ、みんな……」
「なんなら、俺が買ってこようか」
デヴィットは言った。
「任せたわ、私のも」
私は押し付けた。
「あれ、ダイエット中じゃないの」
デヴィットはおどける。
「やめたの、ストレス溜まるし」
「へぇ、じゃぁ太るのかな」
「トレーニングは、続けるわよ」
「なるほど」
デヴィットはバスの裏のSWATの輪から
抜け出して、
「じゃぁ、非番になったら買ってくるわ」
とだけ残して、
向こうのパトカーの連中と話しに行った。