幻影の林檎5
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/24 18:10:01
午後3:45の日差しは―――
その夏は残酷で、ちょっとほんわかで―――
見るものすべてを凍りつかせそうな、
そんな日差し―――。
「シオリ、さっきの話―――」
「あぁ……」
「ユウトとは、長いの―――。
知ってると思うけど」
「うんうん」
アヤは頷いた。
「知ってると思うけど―――。
いつから一緒にいるか、
分かんないんだよね―――。
それこそ、物心ついた頃から
一緒なのかもしれない」
私は続けた。
「分かんないかもしれないけど、
彼意外と物事自分の中で考える方だから―――。
だから、冷静に考えてるときは、
そっとしておいてほしいな……」
「なるほど」
アヤは相槌を打った。
「で、で?」
ナツは話を聞きたそうだった。
「それで、うちらでユウトのことシェアしてる話だけど……
誰にも言っていいけど、クラスの奴には内緒ね。
ユウトの立場が狭くなるだろうし」
私は言った。
「はーい、はーい」
ナツは元気よく返事をした。
「それから、言っていいの女子だけだから。
男子に教えたら、余計ユウトが立場まずくなっちゃうから」
私は続けた。
「はーい、はーい。
でもさ、女子三人飼ってるって男子にバレただけで
差別されるのっておかしくない?
別にいいんじゃないの、
かわいい子結構いるし。
見つけられない方がおかしいんじゃないの~」
ナツは言った。
私は、
「うん……でも
マズくなることは確かだし……」
と言った。
「ごめん、この話
マズいからやっぱなかったことで」
私は言った。
「分かってるよ、大丈夫~」
アヤは言った。
休んでいた日陰の中で、
アヤは優しく抱きしめようとした。
アヤを止めようとして、
私はアヤを押し返した。
「なんで~、いいでしょ~」
アヤは不平そうに言った。
分かってるけど……白昼堂々人前で、だよ。
どうなんだ……この関係。ユウトにも言ったほうがいいのかな。
でもあいつは知ってるし……。