Nicotto Town


ふぉーすがともにあらんことを、あなたにも。


幻影の林檎5

午後3:45の日差しは―――

その夏は残酷で、ちょっとほんわかで―――

見るものすべてを凍りつかせそうな、
そんな日差し―――。

「シオリ、さっきの話―――」

「あぁ……」

「ユウトとは、長いの―――。

知ってると思うけど」

「うんうん」
アヤは頷いた。

「知ってると思うけど―――。

いつから一緒にいるか、
分かんないんだよね―――。

それこそ、物心ついた頃から
一緒なのかもしれない」

私は続けた。

「分かんないかもしれないけど、

彼意外と物事自分の中で考える方だから―――。

だから、冷静に考えてるときは、
そっとしておいてほしいな……」

「なるほど」
アヤは相槌を打った。

「で、で?」
ナツは話を聞きたそうだった。

「それで、うちらでユウトのことシェアしてる話だけど……

誰にも言っていいけど、クラスの奴には内緒ね。

ユウトの立場が狭くなるだろうし」
私は言った。

「はーい、はーい」
ナツは元気よく返事をした。

「それから、言っていいの女子だけだから。

男子に教えたら、余計ユウトが立場まずくなっちゃうから」
私は続けた。

「はーい、はーい。

でもさ、女子三人飼ってるって男子にバレただけで
差別されるのっておかしくない?

別にいいんじゃないの、
かわいい子結構いるし。

見つけられない方がおかしいんじゃないの~」
ナツは言った。

私は、

「うん……でも
マズくなることは確かだし……」
と言った。

「ごめん、この話
マズいからやっぱなかったことで」
私は言った。

「分かってるよ、大丈夫~」
アヤは言った。

休んでいた日陰の中で、
アヤは優しく抱きしめようとした。

アヤを止めようとして、
私はアヤを押し返した。

「なんで~、いいでしょ~」
アヤは不平そうに言った。

分かってるけど……白昼堂々人前で、だよ。

どうなんだ……この関係。ユウトにも言ったほうがいいのかな。

でもあいつは知ってるし……。





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