1平方ミリメートルの森
- カテゴリ:自作小説
- 2013/09/17 17:23:50
ジョンは言いました。
「エリー、この鶏は僕が捕ってきたんだよ」
ベンは言います。
「エリー、この卵は僕が採ってきたんだよ」
エリーは言います。
「ありがとう。でも鶏も卵も要らないわ」
ジョンはがっかりした様子でいいます。
「じゃぁ、夕飯にでも食べなよ」
エリーは言います。
「一緒だったらいいけど、うちでは食べきれないわ」
ベンは言います。
「にわとりさん可哀そうだよ。
食べられるかも分からないのに捕られたのだから」
エリーは言います。
「そうね。食べれば報われるのかしら」
ジョンは言います。
「食べても報われないかも。
もう死んでいるのだから」
ベンはいいます。
「そうだ。じゃぁ盛大に料理すればいいんだ」
「死者の弔いね」
エリーは言いました。
「人間だったらそうはいかないんでしょうけど」
エリーは私に言います。
「ママ、鶏でシチューをお願い」
「分かったわ」
私は言いました。
「牛乳があるから、そうしましょう」
「チーズ買ってくるね」
ジョンは言いました。
「いいや、うちにあるから大丈夫よ」
私は言いました。
鶏は報われません。
チーズも報われません。
じゃぁ、いったいどうして
人間たちは鶏を食べることを選んだのでしょう。
答えは簡単です。お腹が減ったからです。
鶏が人間よりも弱いために、食べられてしまうのです。
こんな人間が、鶏を憐れんでも仕方ありませんね。
鶏は報われないのです。ただ、希望を聞いてもらえないのです。
〈終わり〉
なぜ生まれてきたかがどうやって生まれてきたかに
係るのと一緒(修飾)ですb
ちょっとした罪悪感のようなものからきてるのかな。
少しでも不安のあるものごとには
何かしらの理由をつけると安心するのかもしれませんね。
いろいろなことを頭では分かっていながらも。