Nicotto Town


ふぉーすがともにあらんことを、あなたにも。


【短編】:「10月冬の風」

放課後、トボトボと私は昇降口を出た。

―彼はこのまま行ってしまうのではないだろうか。

そういう思いが、私の頭をよぎった。

昇降口から、彼が出てきた。

渡さなければいけない。
でも渡せない。

昇降口から出てきた彼の面影は、
どこか寂しげだった。

とりあえず、ここは離れなきゃ。
私は歩く速度を早め、
彼のテリトリーからフェードアウトした。

気のせいか、彼が追ってくる気がする。
いや、むしろそうしてほしいのか。

自分では分からなかったが、
今日の自分は思わせぶりだ。

きっと背中に追いかけてきて、
と書いてあるに違いない。

やるせなさが、冬の空気を揺さぶる。
虚空に響く校庭の歓声は、

10月を思わせる青空に華を添えた。


―彼は行ってしまうかもしれない。

卒業後、外国へ行くとの噂もあったのだ。
もし行ってしまったら……。

そう考えると、この気持ちは
早いうちに「言ってしまった」
ほうがいいのかもしれない。

ただ、焦りと不安が頭をよぎる。

このまま一緒にいる方法はないだろうか。

必死で考えているうちに、
家に着いてしまった。

学校から5分もかからないこの家は、
思わせぶりに私を迎えてくれる。

よし。

私は決めた。

―他の人に言われる前に?

ふと頭の中でまた同じ声が響く。

違うよ。もっと柔らかい方法で。

寂れた秋冬の空気が、
私の肩を揺すった。


翌日―。

帰りになって、私は彼に手紙を渡すことにした。

後ろから近づき、そっと手の中に滑り込ませる。

もっとも、手にねじ込んでも、
ポケットに突っこんでもよかったかもしれない。

彼の表情は明るくなった。

ただ、そのあとよぎった寂しさは、
何を表しているのかは分からない。

そっと渡した手紙。

彼の横顔。

旅立つかもしれないあなたに伝えます。

私はあなたのことを愛していました。


……

思いつきで書いた短編です。
まぁ、サークルに投稿する用だったのですがb

リラックスして書いたら、
適当に書いてもきれいにまとまりました。

ちなみに、サークルのお題は「勇気」でしたb

お題書かないとよく分かんないですよねw

愛する人がもし旅立ってしまうかもしれないとしたら……

あなたなら、どうしますか?w

アバター
2013/10/16 19:07
10代女子に独白させるのも
ちょっと変な気もしますが

まぁ、サークルのお題で作ったので
こんな感じになりましたw
アバター
2013/10/16 18:33
携帯小説というやつですか?
ちょっとわからない分野ですが
この短さだと独白調がむいているのかもしれません
アバター
2013/10/07 11:18
初めまして コメント感謝ですb

もし引き止める権利がある=大事な人 なら

引き止められる

つまり、大事な人というアピールと引き換えに
引き止める機会が成り立っているわけですねw

つまり、付き合ったら引き止められる
というわけです。

逆に言うと、噂半分で引き止めることもできない。
つまり、大事な人だと告げることで
引き止める機会が得られる。

ちなみに、この物語では
まだ留学するかどうかは定かではないのです。
あくまでも、噂話程度なのでb

いわば、大事な人だと告げる か
引き止める権利を得るか

のゼロサムゲームなわけですねb

つまり、勇気を出して告白してしまえば
上手くいった場合、引き止める権利が得られます。

要は、引き止める必要があるかもどうかも
分かるわけです。

この小説では、
その探らないと分からないエリア

(=留学するかどうか)

を探ったことで見つける

あるいは、見失う(フラれる)

というのを表現したのです

つまり、探れば見つかるかもしれないけど
探ったらあるいは今持っているものが壊れてしまうかもしれない

量子力学の要素を取り入れたのですねb
つまり、観測不確実性というやつです

探ったら分からなくなる というやつですね

かといって、探らないと分かりません。

明確な答えは、告白すると得られるというものです。
まぁ、話して聞き出せれば別ですが

時間的余裕がないという設定で
心理的に、袋小路を描きたかったのです。


袋の中に宝石があります。

それはぶら下がっています。

袋のたもとには手が届きません。

袋をナイフで切れば宝石が取りだせます。
しかしナイフで切ってしまえば、

袋を切った事実は取り返しがつきません。

こんな感じです。

実を言うと、袋の中に宝石があるかどうかは
分からない。

つまり、告白しても分かってもらえるか
分からない

挙句の果てには留学行くかどうかも定かではない。

物語を解説すると、こんな感じですb
アバター
2013/10/07 11:00
はじめまして
素敵な物語が書いてあったので
おもわず読んでしまいました。。。


旅立ってしまう
でも引き止める権利を持つのは私じゃない

そんなときはどうしたらいいのでしょうね
見守るしかないのかな
アバター
2013/10/07 05:11
条件的には
待ってますのほうが正しいのか……w

ただ、海外渡航はあくまで噂話ですからねb

心境的に、複雑さを描きたかったので^^;

手紙で受け取るから、あえて過去形なのです。
というより、締めの一文なので

手紙の内容とは無関係に書かれた模様w
アバター
2013/10/06 19:58
愛してました か・・過去形なんねぇ
恋を終わらせる手紙かぁ
まぁ旅立つ人には そうなるかな~
「待ってます」ってのもねぇ・・

まぁ ここは 「お元気で」かな^^; うわっ フツーw
アバター
2013/10/06 16:01
ん……

そんな結末でしたか^^;

でも外人ってそこまで魅力的じゃない……

もっとも、LAとかパリとかそういうところだったんでしょうね……;
アバター
2013/10/06 15:56
待つほうは忍耐しましたよー((o(б_б;)o))

でも留学生さんは外人さんの魅力に負けてしまいましたとさ。

=( ・_・;)⇒ アレ?
アバター
2013/10/06 15:14
ん~ そうですね

微妙かもしれないですね^^;

でも言いたいのです

留学は決して離れ離れになるわけじゃない
待つほうの忍耐が足りないから別れたくなるのだとb

実際留学してた身の経験ですb
帰ってくる家は、やっぱりあったほうがいいですよb
アバター
2013/10/06 15:10
ほんとに綺麗にまとまってますね♪
読んでて情景が自然に浮かんできました (*´∇`*)

>愛する人がもし旅立ってしまうかもしれないとしたら……
>あなたなら、どうしますか?w

リアでつきあってた大学生さんが海外留学しちゃった経験があるので
フクザツな心境~・・・(。・w・。 )




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