Nicotto Town


つれづれ、ひねもす


花色の話

藍という植物青の話をしたので、最後におまけとして月草の話を。

月草。鴨頭草(つきくさ)。一般的には露草と呼ばれているね。
僕の好きな植物の一つだ。
7月~8月、夜明けから昼にかけての短い時間だけ道端に咲く、鮮やかな瑠璃色の花弁。
これを摘み取ると、薄い花弁は簡単に潰れ、青い汁が残る。
この露草を染料とした青を花色と呼ぶ。
色素で言うと、アジサイとかと同じアントシアニンだ。

ものすごく簡単に染料化できそうだが、そうは問屋が卸さない。
何せこの花色、水であっさり落ちる。ものすごく弱い。
何かの推理小説で、雨の中運んだ書簡の文字が消える⇒露草で書いてたんだよ、というネタがあったような気がする。
もう少しはっきりしたソースだと『万葉集』、「月草に衣は摺らむ朝露に 濡れての後はうつろひぬとも」なんて歌がある。
『枕草子』にも、どこだか忘れたけど「鴨頭草 うつろひやすなるこそ うたてあれ」と書いている。
この青の脆さは昔から有名だったようだ。

こんなもん、推理小説のネタ以外に何に使うんだ、という感じだけどちゃんと使い道がある。
例えば友禅の下絵描き、或いは焼き物の絵付け。
水であっさり流れ落ちることを逆に利点とした利用方法だ。
温泉で有名な滋賀県は草津市では、ツユクサ科の大形品種「大帽子花」を栽培して、その花弁からとれる青を和紙に染み込ませた青花紙という商品を作っている。
この青花紙をちぎって水に浸すと、花色の染料が手に入る。これを、下絵描きに使う。
ただし、青花紙の作成には大量の露草と、手間と時間がかかる。
今はもっと簡単に、短時間で作れる化学青花があるので、ほぼ需要は無いそうだ。

題材としてはすごく面白いんだけどね、消えるインク。

アバター
2017/01/16 21:43
あんなに青いのに、儚い所が良いですよね。
花も昼には萎んでしまいますし。

オシロイバナで爪が染まるのは知りませんでした。
さすがに今の年齢でやったらダメかなぁ……しかし、気になります。
アバター
2017/01/16 03:54
小さい頃 よくつぶして色を見てました(≧▽≦)
ティッシュを小さくちぎって染めてみてたんだけど そういえばすぐ色が消えちゃってたなぁ…
その儚さにも心惹かれていたのかもしれません (´∀`*)

そういえば オシロイバナの花は あちらはピンクだけど爪が染まりますね☆



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