【源氏あそび（？）】みんなでごはん（上）
- カテゴリ：自作小説
- 2017/11/25 18:42:56
香雪屋の季節限定メニュー、【炊きたてごはんのおにぎりセット】が食べたい。
National Geographicを読みながら幼なじみがぽつんとこぼした呟きに、
生徒会室に居たもう一人の幼なじみと素早くアイコンタクトをかわした。
生徒会室に居たもう一人の幼なじみと素早くアイコンタクトをかわした。
（深雪ちゃん、プランＢで）
（ラジャー）
（ラジャー）
じゃあ、行きましょうか。ええ、行きましょう。
生徒会長様の腕を左右からガッチリ捉え、残っているメンバーに後は宜しくと声を掛けると、
「いってらっしゃい」とか「分かりました」とか、ぱらぱらと返事が返ってくる。
生徒会長様の腕を左右からガッチリ捉え、残っているメンバーに後は宜しくと声を掛けると、
「いってらっしゃい」とか「分かりました」とか、ぱらぱらと返事が返ってくる。
抵抗する気が無いのか、単に空腹なのか、なんなのか。
常に無く大人しい白藤を、さぁさぁと生徒会室の外へ連行――もとい誘導して、扉が閉まる刹那、
あざとい系書記が「貸しですよ」とにこやかに手を振った。
常に無く大人しい白藤を、さぁさぁと生徒会室の外へ連行――もとい誘導して、扉が閉まる刹那、
あざとい系書記が「貸しですよ」とにこやかに手を振った。
有白がスマホから送った要請に速やかに応えてロータリーで待機していた車に乗り込むと、
彼の専属運転手の五島がいつものようにカッチリと隙なくセットされたシルバーグレイの頭を振り向け、
彼の専属運転手の五島がいつものようにカッチリと隙なくセットされたシルバーグレイの頭を振り向け、
「お帰りなさいませ、坊ちゃんがた。どうぞシートベルトをお召し下さい」と声を掛ける。
一番奥に深雪、間に白藤を挟んで有白という席順でシートベルトを着用すると、
車は飛び立つ水鳥の如く、滑らかな加速で発進した。
「ありがとう、五島さん。急に時間変更してしまって、すみませんでした」
「結構ですよ、坊ちゃん。これぐらいの我が儘なら毎日仰って頂いても良いくらいです」
「五島さん、久しぶりね」
「お久しぶりです深雪お嬢様。また一段と美しくなられましたなぁ」
「あら、相変わらずお上手ね」
「恋ですかな？」
「違っ！ ……わない、です、ケド」
「結構ですよ、坊ちゃん。これぐらいの我が儘なら毎日仰って頂いても良いくらいです」
「五島さん、久しぶりね」
「お久しぶりです深雪お嬢様。また一段と美しくなられましたなぁ」
「あら、相変わらずお上手ね」
「恋ですかな？」
「違っ！ ……わない、です、ケド」
最後は小声になりつつも、それでも、なんとか否定の言葉を飲み込んだ深雪に、
五島がさようでございますか、それはようございましたなぁと目尻を下げて笑み、
白藤と有白は互いにニヤッと笑みを交わす。
無言でニヤニヤする男子たちの心情を察したのか、
深雪からキッと鋭い睨みが飛んでくるが、真っ赤な顔で睨まれたところで怖くもない。
五島がさようでございますか、それはようございましたなぁと目尻を下げて笑み、
白藤と有白は互いにニヤッと笑みを交わす。
無言でニヤニヤする男子たちの心情を察したのか、
深雪からキッと鋭い睨みが飛んでくるが、真っ赤な顔で睨まれたところで怖くもない。
後で覚えてなさい、という低い声に若干震えてしまったのは、内緒だけれども。
五島のいつもながらに安心感のある運転で到着したのは、香雪屋カフェの前だった。
臙脂のクラシカルなワンピースに清楚な白いエプロン姿。
看板娘の香雪が「いらっしゃいませ」といつもの澄んだ声で出迎えてくれる。
「いつも香雪屋カフェをご利用いただき、ありがとうございます。
本日は【雪】のお部屋をご用意いたしましたが、こちらで宜しかったでしょうか？」
本日は【雪】のお部屋をご用意いたしましたが、こちらで宜しかったでしょうか？」
「ええ、ありがとう」
「宜しければお荷物やコートをお預かりいたしますが、いかがなさいますか」
「コートだけお願いします。白藤、君も鞄は持っていきますよね？」
「ん」
「私もコートとマフラー、お願いします」
「畏まりました」
「宜しければお荷物やコートをお預かりいたしますが、いかがなさいますか」
「コートだけお願いします。白藤、君も鞄は持っていきますよね？」
「ん」
「私もコートとマフラー、お願いします」
「畏まりました」
深雪が香雪にコートを脱がせて貰っている間に、白藤と有白は各々のコートを脱いで香雪へ渡し、
代わりに受け取った「雪」と書かれた木札と鞄だけを持ってカフェの奥へ進む。
代わりに受け取った「雪」と書かれた木札と鞄だけを持ってカフェの奥へ進む。
賑やかながら騒がしくなく、和気藹々と温かなオープン席の雰囲気も嫌いではないが、
大事な幼なじみをめいいっぱい甘やかすなら、喧噪から隔絶した個室の方が良いだろう。
大事な幼なじみをめいいっぱい甘やかすなら、喧噪から隔絶した個室の方が良いだろう。
そう思って予約した深雪の意図を察してか、【雪】の部屋はカフェの奥まった場所にひっそりとある
ちょっとした離れのような席だった。
ちょっとした離れのような席だった。
雪花を浮き彫りにしたケヤキの戸の脇に木札をかけ、中に入った有白は、
部屋の中央に備え付けられた六人掛けの掘りごたつを発見し小さく感嘆の声を上げる。
部屋の中央に備え付けられた六人掛けの掘りごたつを発見し小さく感嘆の声を上げる。
つい数年前まで海外に留学していた有白にとって、こういうちょっとした和風の物は新鮮なのだ。
一方、自宅の母屋が純和風建築である深雪は特に有白ほどの感動も無く、
さっさと靴を脱いで座敷に上がり、うーんと手足を伸ばして、すっかりリラックスモードである。
さっさと靴を脱いで座敷に上がり、うーんと手足を伸ばして、すっかりリラックスモードである。
「床暖房入ってるねー」
「もう雪が降る季節になったからね」
「もう雪が降る季節になったからね」
雪見障子越しに見える坪庭に植えられた南天の実が赤く色づいているのを眺め、
ここにきてやっと口を開いた白藤が呟く。
ここにきてやっと口を開いた白藤が呟く。
舌に香り良い蜜を含んでいるかのような、そんな笑みを浮かべている横顔。
さびさびとした金に沈む瞳に、銀に煙る睫毛がゆらり影を落とす。
「ありがとう」
何に対してとは言わなかったが、察しの良い幼なじみたちは「どういたしまして」と声を揃えて笑みを返した。
「みんなでごはん（中）」につづく
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～共有物語企画～
源氏遊び
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気負い無く話せる友人との一時って、良いものですよねぇ。
たぶん、会長を意識的に甘やかせるのは有白さんと深雪さんなのでしょうね。
プランＢ、とか名付けちゃうあたりが学生のノリだと思うｗ
ネタは大分古いけどｗ
学生時代の自由な感じがいいなぁ
みうみさんもご飯話でしたよねぇ。
偶々思い立った日が近くて、タイムリーだなーと驚きました。
・響さん
会長には時々あったかお布団と、抱き枕と、ごはんと、幼なじみたちが必要だと思うんだ。
情景が広がるとか、嬉しいお言葉ありがとうございます。
匂いとか食感とか出せれば良いのだけど(o´艸`)
・ゆきやさん
香雪屋さんを勝手に拡張しちゃいましたｗ
気心知れた人とおいしいごはんって、癒やし効果高いと思うのですー。
隠れ家カフェいいですね＾＾
いいな、幼馴染。。気心がしててね。
美味しいお話もｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!
藍色さんのお話は情景が浮かんできやすくて妄想が広がり続けるので
楽しいのです♪
続きも読めるの嬉しいなぁ～
１合炊飯マグ＋無洗米で十分だよねぇ。うん。
僕はまとめ炊き⇒冷蔵しちゃうけど。
・みぃさん
おにぎりの具を何にするか考えたり調べたりしてたら、奥が深すぎた。
おそるべしおにぎり。
僕もおにぎり食べたい。しらすと枝豆とごまのおにぎりが。ほぐし生明太子が。スパムが。
・ケイトさん
こうしないと甘やかされてくれない会長。。。
平安学園生徒会は、白藤ハーレムというより、白藤ドールハウスな気がする今日この頃(o´艸`)
・永都さん
＞飯テロな予感がひしひしと！
次回でついにその被害者が？！
・みゅみゅさん
上中下に分けたのに、切りよくしようとすると後のバランスがー……
ごはんを、ごはん部分を削れというのか、この僕に……くっ。
ありがとうございますー。
容姿描写より様態描写で美しさを、と言われつつ目先の美に走りがちです(o´艸`)
・七リィさん
＞あれだよ 首の後ろ咥えて運ばれるネコに似ているw
それだ！ m9⊃゜∀゜）!!
白藤にゃんこだったのか……！
＞五島さん
七リィさんの物語でお見かけしてから、密かに五島（×いつしま ○ごとう）さんのファンなのです。
その節は、拙宅の青藍がとんだ無礼を働いてしまいまして…orz
幼稚舎の頃から見守ってたんじゃ無いかなぁ…
＞じーんな有白さん、チャキチャキ深雪さん
笑って頂けて何よりです。
なんか僕の中のお三方の役割、こんなイメージなのですよー(o´艸`)
あれだよ 首の後ろ咥えて運ばれるネコに似ているw
そして五島さんが！！ 活き活き動いている！！
感涙です ありがとうございます｡･ﾟ･(ﾉ∀`)･ﾟ･｡
最初 後藤さんだったけど ちょっと変換いじってみた五島さん…
エメさんとこでは青藍くんに昏倒させられた五島さん…
この 仕えてるから馴れ合いはないけど 親しみにあふれてる関係が 会話に滲んでて…
いいですなぁ 憧れる( ´∀｀)
有白： 掘りごたつー じーん…ヽ(ﾟ∀ﾟ)ﾉ
深雪： あーさぶさぶ 早く入んなさいよ
この感じがもうwおかしくておかしくてwww
わくわく ぐー （さっきご飯食べたのにｗｗ
＞さびさびとした金に沈む瞳に、銀に煙る睫毛がゆらり影を落とす
わーーっ こういう表現が美しくて藍色さんの文章が好きだーーっ！！！٩( *˙0˙*)۶
これはまた飯テロな予感がひしひしと！
おにぎりかな？
床暖房が嬉しい(●´艸｀)
ごはんー。おにぎり食べたい。
前中後編なのー？
すっごいプレゼント！
まぢで今日ちょっとブルー気味だったので嬉しい❤