Nicotto Town


ふぉーすがともにあらんことを、あなたにも。


オスカー・ブラッドレー博士の記し書き 10

いつかの空は、
青かった。

ふと子供の描いた絵を見て、
そう思った。

30年前、

15歳のときに描いた空は、
灰色がかった青だった。

時代は変わり、
時は流れ

いつしか空の色も
青くなったのだろう。

青い空は、
水素を多く含み

分子が活発な
気体を連想させる。

ちょうど虹がかかる空が
きれいな空であるように

青い空の色は
どこか街の空を連想させた。

遠い空に思いを馳せ、
30年前に描いた空は

いつしか空に舞い上がって
そして水の霧になって消えた。

今こうして空の霧が
こうして息子に受け継がれたことを
考えると、

まんざらあの時も空は青かったのかも
しれない。

そう思わざるを得なかった。

〈第一部 終わり〉





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