【読み切り】 真夏のストラグル
- カテゴリ:自作小説
- 2013/08/10 15:15:37
今どこにいるんだよ―――。
―――隣だよ。
はっ……。
目が覚めた。隣では女子がにぎやかに会話している。
「ねぇ~聞いて~、ユウヤの寝顔ってさぁ~」
由香が楽しそうに言う。
はいはい。こっちは楽しくありませんよ~、と。
「神谷」
女の子が冷静に言った。
冷たい感じもした。が……
「なんだ~、日比野さんじゃん」
「あっそ」
その女の子は冷たくあしらった。
「あの、これ落ちてたから」
消しゴムを拾い上げた。
居眠りで落ちるものNo.1だろうな。
「ありがと」
俺はお礼を言った。
「にしても、かわいいね~」
「褒められるのには、慣れてるよ」
日比野さんはいたって冷静だった。
「そういや、下の名前なんだっけ」
「美沙」
「美沙ちゃんね~」
「馴れなれしいわ」
日比野さんはふてくされた。
MPが1になった。
言うことがないな。
「あの~、今度遊ばない?」
俺は日比野さんに唐突に聞いた。
「ぇっ?だめだけど」
「ぉお、まじか……」
撃沈した。これで今日の残存兵力はゼロだ。
帰ろう……。そう決めた。
「よっ、神谷君」
沙織ちゃんだ。声かけてくれて……ありがとう。
「元気にしてる~?」
俺は聞いた。
「もっちろ~ん」
沙織は元気に答えた。
「ねぇ、今日どっか行かない?」
「ぅん~、今日は撃沈されたの」
「あたしと、……デートでも?」
「いや、それはないな」
「即答……」
「んじゃ、また今度ね」
沙織ちゃんは揚々と去っていった。
さて、本命ですかな……。
「なに見てる。ユウト」
由香はまじめくさって言った。
「いや、下心なんてありませんよ~、だ」
「ぁ、なにか考えてたな」
由香は意地悪く言った。
「まぁいい、どうせこのあとそのままバイバイだ。
水でもかけてやるべきだったな」
低い、ながらも美しさのある声で言った。
「おぉ~、コワイコワイ。さっさと帰りますか~」
「ふん、幼馴染の言うに知ったことではないわ」
由香は機嫌が悪かった。
「じゃ、いつもの場所ね~」
「はぃはぃ、あっそ」
―――。
「はい、いつもの」
「ありがと。助かるわ」
由香は冷えたココアを受け取ると、
ご機嫌そうだった。
「でもさ~、なんでこんなに暑いんだろね」
由香は汗こそかいてなかったが、
たぶんこの出入り口からでると
汗だーだーだろうな。
「知らないよ、太陽が意地悪なせいだろ~」
俺は言った。
「前、由香そういってたじゃん」
「あの話?あれは……」
由香はとぼけた。語っていたのも忘れたのだ。
「まぁ、とにかく、忘れるほど暑いってことだよ」
「海行きたい」
由香は言った。
「じゃぁ、行こうか」
突然の申し出に、由香は意表を突かれたものの
急にうれしそうな顔になった。
「ぅん……。行くけど。
また二人で行くの?」
由香は急に聞いた。
「ぇ?誘って行く?」
「二人がいいかな……。
でも、こういうときに誘う人いなーい!」
由香は言った。はいはい、あっそうですか。
「みんなでなんて、嫌でしょ」
「別に」
「誘ってもいいんだぞ~」
由香は急に押し黙ってしまった。
「ん……でも、今回は二人がいい~」
やった。……あれ、これってデートか?
「なによその目~」
由香は不機嫌そうだった。いや、警戒してるのか……。
まぁ、とにかく、予定が立ったわけだ。
「ぜったいやらしいこと考えてる、コイツ……」
まぁ、いい。せっかくのデートなのだ。
これで14回目だけど。
〈終〉
この作品でも、まだリズムというか間合いが足りない部分がありますノ
ひとつの作品を、二人で別々の視点で書くと
どこがどういう構造になっているのか分かるので、
作品の分析には有効かもしれませんね~b
今度サークルでやってみたいことが増えましたb
参考にします!!