Nicotto Town


アオイさんの日記


side 3rd ANNVERSARY・2

「アオイさん達も来たんですね」
と、声をかけてくる者がいた。サハラと、その下宿の親父たちだ。親父たち、シドとブラウンはもうすでにシャンパンを御馳走になったのか微かに酔った顔をしている。
「アオイちゃんも早く飲んだ方がいい、美味しいから」
そう言ってグラスを勧めるブラウンに、だけど、とアオイは少し不安な顔で言った。
「そういえば私まだ未成年なんですけど、飲んでいいんですか?」
ごもっともなその質問に、ブラウンは、ばれなきゃいいんだよ、なんて不届きな返事をし、シドに頭をひっぱたかれてしまった。
「このシャンパンには魔法が掛っているから、未成年が飲んでも大丈夫なんだそうですよ」
さっき、ヘイゼル君から聞きました。と横でサハラが苦笑しながらそう教えてくれた。
 よかった、とアオイは胸をなでおろし、シャンパンを受け取った。既にヤマブキたちはそれぞれで飲んでいて、美味しい、と吐息をついている。
「本当、美味しい」
ほう、と息をつきアオイもそう呟いた。
 アルコールの苦味は無く、甘く爽やかな香りが口中に広がっている。この美味しさも魔法のお陰かしら、なんて事をアオイが考えていると、再び声をかけてくる者がいた。
「アオイさん」
声をかけてきたのはヘイゼルだった。
 普段、カジュアルな格好の多いヘイゼルだが、今日はきちんとした格好をしていた。見慣れないタキシード姿だが、明るい色がヘイゼルによく似合っている。アオイがまあ、と思わず目を瞬かせていると、似合いませんか?と少し不安げにヘイゼルは言ってきた。
「こういう格好、あまりした事無いから、不安で」
そう言って手持無沙汰を紛らわすかのように、上着の裾を引っ張ったりしている。その馴れない様子に、自分がドレスを初めて来た時の事を思い出しながら、アオイは微笑んだ。
「よく似合っていますよ」
「ありがとう、ございます」
アオイさんもドレスよく似合っています、とヘイゼルは頬を染めながら言った。




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