Nicotto Town


アオイさんの日記


side 3rd ANNVERSARY・3

 わいわいと広場でお喋りをしていると更に輪に入って来る者がいた。
「楽しそうね」
そう言って声をかけてきたのは、白衣からドレスに着替えたフカだった。そしてその横には帽子を目深にかぶったイサナの姿。
「さっき見つかっちゃったんだ」
と、肩をすくめて言うイサナにフカは顔を顰めた。
「こんなに人が沢山出て来ているときに陸に上がるなんて正気の沙汰じゃないわよ」
「折角のお祭りなんだからいいじゃない。フカさんは最近口うるさくなった」
そう言ってむくれるイサナに、イサナこそ、とフカは笑った。
「イサナは最近明るくなったわね」
「そう?」
「そうなんですか?」
イサナは最初から明るかった。とアオイがきょとんと首をかしげていると、あなたのお陰よ、とフカは又笑って言った。
「もー、とげとげとげとげして、扱いにくい子供だったんだからイサナは。そのくせ陸に興味ばかりあって。いつか捕まって見世物小屋に売り飛ばされるんじゃないか。って思ってたんだけどね」
危なっかしいのは今も同じだけど。と笑うフカに、イサナは思い当たる節があるのかばつの悪い顔で俯いた。
「まあ良い方向性ではあるんじゃないかしら?」
そうからかうように言って、フカは知人がいるからと去って行った。「人買いに見つからないようにね」とくぎを刺していくのを忘れずに。

「言いたい事だけ言って行っちゃうんだもんなぁ、もう」
と、フカの背中に悪態をつき、イサナは相変わらずばつの悪い顔で佇んでいた。
「でも悪い意味じゃないから、喜んでいいんじゃないんですか?」
「それ、アオイが言う事じゃないよ」
そう言ってイサナはむくれた。
 どうしたものか、とアオイが戸惑っていると、背後から、それはイサナちゃんだけに限ったことじゃないよ、と声が掛ってきた。
「アオイちゃんだって変ったわよ」
「そうね、ちょっと肩の力が抜けたわね」
「可愛らしいところは変わらないけれど」
そう楽しげに声をかけてきたのは、ヤマブキたち。
 確かに引っ越してきた当初は緊張の連続だったけれど。自分はそんなに肩を張っていたのだろうか?とアオイがキョトンとしながら周囲を見回すと、うんうん、としたり顔でヘイゼルやサハラたちも頷いている。
 そうだったのか、と何だか気恥かしくて、アオイが頬を赤らめていると、そう言うところは変わらない。と笑い声と共にそんな声が響いてくる。

 緊張の連続だったけれど、いつのまにかこの街の住民として馴れてきたのかな。そう思うと何だか嬉しくて、ちょっと照れくさくて。

「お店にケーキと飲み物を用意してますよ」
皆に囲まれて、アオイは微笑んだ。

――――――
一日早いけれど、うp。
私自身はまだ一年にも満たないのですが、三周年おめでとうございます!!

アバター
2011/09/30 11:33
>ジュジュさん
コメントありがとうございます^^
最初から読んでいただけたようで、ありがたいです。
でも大変だったろうな、と思ったりしつつ(笑)
本当にありがとうございます!
自分で書いていてなんですが、こうやって住人目線でタウンを愉しむとちょっとした疑似体験ができて楽しいですよ。
のんびりした雰囲気が好きなのでそういう話が多くなってしまいがちなのですが、喜んでいただけて幸いです。

最近、停滞してしまったりすることがありますが、今後も読んでいただけたら嬉しいです~。
それでは!
アバター
2011/09/29 23:01
初めまして。
今日やっとすべての記事を読み終えたので、コメントさせていただきます。
イベント広場でアオイさんにステプした際にプロフィール欄が気になって訪問し、登録者ではなく「タウンの住民の日記」と言うありそうでなかった形式が面白くて、すっかりのめりこんでしまいました。
日記の中のアオイさんと住民達の繰り広げる、ほのぼのでまったりとした雰囲気が素敵です。
アオイさんもタウンに着たばかりの頃の初々しさが少しずつ抜けてきて、落ち着いた様子になってきていますね。
これからも楽しく読ませていただきます。



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