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農産物の品目と販路の一長一短(中編)


前回からの続き。色々な農産物の品目と販路にどんな
長所短所があるのかまとめていきます。


④スーパー等との契約
農協出荷だと値決めが一切できないのが短所ですが、こちら
は生産者側と小売店側で交渉して価格を決めるので、ある程度
相場の影響は受けつつも、生産者側も値決めに参加できること
や、農協を通さない分中間マージンが発生しないのが長所です。
ただし、出荷が始まる前に価格が決まっているので、場合に
よっては相場価格の方が高かったりすることもあります。
そしてこの販路はたいてい「生産者の顔が見える」などの
付加価値がつくので、それに恥じない「美味しく作る高い技術」
が必要不可欠です。トータルでは農協出荷よりも高く売れる
ので利益は多く出ますが、技術も営業力も求められるので、
農協出荷より難易度はやや高め。
他の生産者の追随を許さない程の高品質なものを作れれば、
高級百貨店などでほぼ市場を独占できるのもこの販路の
特徴で、僕がメロンの栽培で狙っているのもこの路線。
1万円で売れるものを千個作れば売り上げは1千万円。
半分生産コストで飛んだとしても手元に500万は残ります。
売上金額は同じでも、100円でしか売れないものを10万個
作るのとどちらが面積と労働時間が少なくて済むか考えれば
断然こちらが魅力的でしょう。

⑤直売直販型・観光農園型
ネット通販も含め、自分で直売所をつくるなどして「自分で
生産したものを全て自分で売り切る」スタイル。
イチゴ農家やブドウ農家などに多いタイプですね。
その地域自体が観光地だったり、近隣に観光地がある場合は
特に直売や観光農園がその威力を発揮します。また、ちょっと前までは
ネット通販はインフラが整備されていなくて、なかなか
ハードルが高い売り方でしたが、今はポケットマルシェや
メルカリなどが受注を請け負ってくれるのでやりやすくなりました。
注意すべきは計画倒産で代金を踏み倒す「取り込み詐欺」を
生業とする業者や、踏み倒しが目的の常習的クレーマーも
一部存在することで、同じ業態の同業者とつながりを作って
ブラックリストを共有するのが賢いやり方です。

⑥米・麦・大豆などの農協出荷
これはあまりいいところがないですね。補助金が出るのと
出荷の手間が少ないくらい。
穀類は保存がきくのと、収穫期がみんな一緒なので相場が
高い時期を狙うとかはできませんし、相場価格と生産コスト
のつり合いが全く取れない。
食用米1俵(60kg)の売上がだいたい1万3千円程度で、
生産コストが1俵あたり1万3千500円くらいととんでもない
レベルの薄利(というか赤字)です。
飼料米ならともかく、食用米は極力JAを通さないで、いいもの
を作って自分で高く売るのが賢明でしょう。
よく周囲の米農家は米価が安いと嘆いていますが、つまりは
供給過剰で値崩れしているわけで、生産調整で供給を減らし
その分品質向上に力を入れて高く売る努力をすればいい
のですが、「米価が安い!?じゃあ売上確保のために面積
拡大していっぱい作らなきゃ!」なんてアホな経営判断を
する人も誰とは言わないけど結構います。
供給過剰な品目を規模拡大で生産量増やしたら、値崩れに
追い打ちかけるだけだってわからないんかな?
現状でも必要以上に安く買い叩かれてるから、売れもしない
恵方巻を「いくら廃棄になってもいいから陳列しろ」なんて
ことがまかり通るわけで。米が二束三文で買い叩けないもの
だったら勿体なくてこんな戦略はできないでしょ?

売れ残って廃棄される大量のコンビニおにぎりやら恵方巻やら
のニュースを見て、自分の仕事がその程度のものだと馬鹿に
されていることに気づかないのなら、農業経営者なんか
辞めた方がいい。
コンビニ業界だけで1日600トンものフードロスが出る
責任の半分は農家側にもあるんですよ。

話がちょっと逸れちゃったけど、生産調整もせず高く売る
努力もせず、補助金くださいとか、経営努力をしていない
と言われても仕方ないわけで、米の農協出荷はこれからなるべく
減らしていくのがベターな選択でしょうし、それができる
米農家が生き残っていくでしょうね。
ちなみに秋田県の農業法人RICE BALLさんは代官山や神戸等の
一等地におにぎり専門店を作り、自分で付加価値を付けて
売ることで成功しています。
稲作専門の経営としてはまさにお手本のようなやり方です。
僕はそこまでできないので、とりあえず籾殻を燻炭にして
販売することで稲作部門の現金収入を増やしてますw

続く





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