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ヨミビトシラズ


石炭とキノコの関係

久々のブログ更新です。今日は化石燃料と微生物の話。

火力発電や製鉄などに不可欠な化石燃料の石炭は、現在より
約3億5920万年前から2億9900万年前までの「石炭紀」と
呼ばれる時期に樹木類の死骸が堆積し、土中で炭化したものです。
多分ここまでは小中学校の理科の授業で習う内容なので、
知っている人は多いはず。

そして現在も一定の降雨量のある地域では多くの樹木が生育し、
時々土砂崩れや落雷、病気などで枯死しているわけですが、
それらの死んだ樹木が遠い未来に石炭として残ることはまず
ありません。なぜならそれらは腐って土に還るから。

ではなぜ「石炭紀」と呼ばれる年代の樹木は炭化して現在に
残ったのかというと、それは木を分解して土に還す菌が存在
しなかったからです。

そもそも木というものは繊維の塊です。

厳密にはヘミセルロース、セルロース、リグニンという3種類
の繊維でできています。
ヘミセルロースとセルロースは納豆菌などの細菌類でも分解
し栄養として利用できますが、リグニンは最も強固な繊維で
あり、これを分解して利用できるのは「白色腐朽菌」つまり
担子菌類=キノコ類だけです。

つまり石炭紀の末期に菌類がリグニン分解酵素をつくる能力を
獲得したため、倒れた樹木はすべて土に還るようになり、石炭は
地球上で「限りある資源」となったのです。

「知は力なり」という言葉がありますが、こういう知識を
持っていることは実は農業経営でも大きなアドバンテージ
になります。

「農業の基本は土づくり」と言いますが、まず土といっても
その母材が風化した岩石や粘土、あるいは火山灰なのか、
その地域の降雨量や温度や植生によっても性質は様々です。
そして土に投入する肥料や耕し方の違いによっても増殖し
やすい微生物の種類が異なり、その微生物の働きによって
また土の性質が変化していくから「土づくり」を理解する
のは意外と難しいです。

例えば落ち葉とか馬糞、木材チップなどの植物性繊維質を
多く含んだものを投入すればそれを速やかに利用できる
担子菌類や糸状菌(カビ類)が増え、次にそれらが繊維質を
分解してできる糖類のおこぼれに群がる酵母や乳酸菌、
納豆菌などが増殖。そして最後にはストレプトマイシンのような
アミノグリコシド系抗菌物質を生成してライバルの細菌類を
抑え込みつつ、キチン分解酵素でキノコ類やカビ類の細胞壁
を破壊して捕食する「放線菌」が出現して均衡状態になり、
そこで作物を植えられるベストなコンディションができます。
だからそれらの菌が生育しやすい環境(水分量・温度・pH等)
を把握し、どんな作業をどのタイミングで、どのように行う
のかを1年先を見据えて考えるとか、そういうレベルで理解
してる人とそうでない人で収穫量や品質は大きく変わります。

バブル崩壊後くらいまでは日露戦争や大東亜戦争で培われた
工業力の基礎と、消費人口の爆発的な増加、朝鮮戦争ベトナム
戦争の特需というこれ以上ない幸運で経済発展し、米価も高く
潤沢な税収があったため農業にも補助金がたくさん出てました。
しかも外国の農産物を関税でシャットアウトしてたもんだから、
地元の付き合い以外何も考えてない農家でもベリーイージー
ぬるま湯モードでいい暮らしができたんですが、もうそうい
時代じゃない。

超一流の「稼げる農家」は石炭と微生物の進化の関係まで
知ってるくらいの知識量が当たり前で、それを現場での
生産技術に落とし込んで、収量や品質を高いレベルで
安定させ利益に繋げています。
どんな職業にも言えることだけど、知識量は所得に直結する
のが現実。稼ぎたければどん欲に勉強しなきゃいけませんね。

アバター
2018/11/11 06:39
>るき
ちょりーっすw
アバター
2018/11/10 19:23
早く寝ましょうね




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