Nicotto Town


みっちょん恋愛の詩


灰皿


タバコの煙をふかせながら
その向こう側にあなたがいた
「喫煙所がなくてさ」
本当は好きじゃないけど
彼だけは許しちゃう


あなたの好きな銘柄は
いつも机の引き出しに
用意していた
タバコが好きな彼が
きらさないように


「クリスマスにはどこに行こうか」
まだ早いのに
そんなことを言ってくれる
そんなあなたが好きだった
そんな気持ちが好きだった


去年の今頃には
そんなことも話していた
今年の今頃は
引き出しの中のタバコはそのまま
使われずに残ったまま


そっとあけてすってみる
ふかしただけで涙が出る
煙のせいだろうか
それともいないあなたのせいだろうか
今でも想う私のせいだろうか


ジングルベルベルが街に流れる時
ファミリーレストランにでも
時を過ごしに行こうか
そこには私と同じ
さみしい顔をした人がいる


タバコが好きだったあなた
今は何処で吸っているの
喫煙所を探しながら
彼女と話しているの
煙が懐かしい


あなたを忘れたかったこの1年
でもできなかった
声をかけてくれる人もいた
でもできなかかった
何が私を臆病にしているのだろう


街が明るく染まるころ
新しい一歩を踏み出せるだろうか
いつまでも待っていても
いつまでも探していても
もうあなたはいない


開けたタバコは捨ててしまおう
あなたの残り香りがするから
余計に悲しくなるから
楽しかったあのころを
思いださせるから


カーテンを開けて
暗い夜の街の明かりを見る
あの中に彼はいるのだろうか
どんな夜を過ごしているだろうか
私のことは忘れただろうか


ぽかりと空いたタバコの跡
悲しい涙はもうかれた
いつまでも涙は流れない
でも捨てられないものが一つ
いつもあなたの使っていた
ガラスの灰皿が一つ




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