Nicotto Town



猫の災難:金馬随談

今日は3代目金馬さんの楽屋話です。落語ではないのですがかなり笑えるもので、その頃の金馬ファンはこの随談が聞きたくて通っていたとのこと。

 旅の楽屋じゃあ御難旅が多くて、そのために死んだ芸人がずいぶんあります。 だから旅の楽屋ゆきますってぇと、たいがい落書きがしてある。 「日の丸に日食なし、落書きに名筆なし」っとうまいことをいったもんで、・・・うまくはないけど文句は面白い物もあります。 「牛とキツネで、もうこんこん!」なんて書いてある。

 九州の長崎ってとこに、・・みなみざ、三と七と三で三七三座と書くんですが、そこの楽屋にね・・「東から北、芸人の西の果て、この小屋で馬鹿を三七三座」(東から来た、芸人のなれのはて、この小屋で馬鹿をさんざんやった?)とか書いてありましたね。

そんなのがよくあるんですよ。 そこで、・・便所へはいってね、夜中にですよ! それで入っていくと「ドーン」とぶつかったんです。・・から「誰か入ってんの?」っと聞いたら、黙ってやんの!

 「ウッ!」とおすってぇとね、向こうへいちゃうんですよ。すると「ドーン」かえってくるんですよ!・・・・

 こいつぁ「首くくりなんですがねぇ」・・・・・こりゃ~驚いた~!

 原爆で騒いでいる広島ってところに、“ちこま”、千駒とかく興行主がありまして、こりゃぁ野師(てきや)の親方で、いろんな見世物を持っているんです。

そこが小屋持ってましてね、・・・その小屋に泊まるんですよ。・・・で、はねてから(仕事終わってから)一杯飲んでるてぇと大きな猫が、毛並みのいい猫がやって来るんで、これをかわいがって、いろんなものやると来るんですよ。

「大きな猫だな~・・なんか化けそうじゃないか! 猫じゃでも踊りそうだなー」ってなこと言って、いい心持ちに・・・寝ちゃって、真夜中ごろふっと眼がさめて、トイレ行こうと思ってね…廊下に出るとその猫が廊下に寝てるんですよ!

・・・から、宵のこと思い出して、「こんなとこに寝てやがる。・・猫じゃ猫じゃとおしゃますがー・・・」

・・まだ少し酒が残ってるんで、唄うとね、その猫がヒョイと立ち上がったんですよ!

・・でね!ほら階段のとこに手すりがあるでしょう。それにぬれ手拭いがかかっているんです。それを爪でヒョイとひっかけやがんの!・・・自分の頭にかぶりやがんの!・・・

 ほんとなんですよ!・・それでね、立って、猫じゃ猫じゃとおしゃあますがー…と踊りだしたんですよ!

・・・こりゃぁ驚きましたな~!  こんときも腰を抜かしちゃったー・・・よく腰をぬかすんですよ。

 あくる朝、千駒のおやっさんに話をするってぇと

「あーお前さん、あの芸を見たかい!・・・あー、ありゃぁ化け猫でもなんでもねぇんだよ。・・こしらえもんだよ。」

 野師が猫の見世物出すのに、子猫から仕込むんです。

 それは・・・鉄板下に引いときましてね、リングみたいなものに入れましてね、足にグローブはめてね、・・・手は素手なんですよ。・・・それで下に火を入れるんですよ。

つまり「お好み焼き」ね!・・・「猫のお好み焼き」さぁ! それでね、三味線弾くんですよ。 「猫じゃ猫じゃとおしゃますが・・」てぇと、火がおきてくる。

あっついんでね、・・後ろ足はグローブはめてっから平気なんですけど、前足は付いていられなくなるんすよ、・・暑くてね!

 そいでだんだん手をあげてこうやるんですよ(手を挙げるしぐさ)。・・そこで三味線を弾くんですよ。 

 そいつでだんだんだんだん馴らすてぇと、三味線弾くと火を付けてなくても踊るようになるんですよ。ただそれだけの話なんですが、…お退屈様でした。

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2009/02/06 21:08
猫ちゃん 少しかわいそうですね 楽屋裏のめずらしいお話をありがとう^^



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