Nicotto Town


三蔵外伝「太陽の破片」


チロルチョコで板チョコ

 私、小学校の頃、発育不足で、中一の身体検査の時に、T137cm 体重29kg だった記憶があります。
 だから、今から書く小6のバレンタインデーもほぼ同じくらいだと思います。

 あの頃、このイベントって全然興味が無くて・・・
 都下でも八王子からさらにさらに西の山並みの麓のわが集落の小学生は、女の子と仲良くしてると、友達など出来ません。ですから、女の子は無視する必要があったし、女の子達は少し違っていましたが、接点は全然ありませんでした。
 小学校時代の、極一般的なバレンタインデーは、小学デビューしちゃった女子が拠ってきて「おい、三蔵!今日バレンタインデーだな。チョコやるよ。ほら。」とか言って、キットカットとかを半分に折って、半分を喰いながら、机の上にバーン!!と、叩きつけて平べったくなったチョコを置いてく・・・
 しょーがないので、食う・・・こういうのが4・5人来る・・・これがバレンタインデーでしたよ。
 でも、ちょっと嬉しかったりして・・・

 で、6年生の時も、日中毎年変わらぬ行事が終わり、部活へ。(サッカー:左MFその当時は左ハーフ,ホ゛ランチに近かった。)
 もう6年生は部活に出なくても良かったんですが、この日は6年生対下級生の練習試合をしていました。
 で、練習試合が終って、ぞろぞろグランドを出るところに人気のエースや、フォワードの子に女の子が群がってチョコを渡してる・・・それを横目に(すんごい冷たい目線で能面の様に無表情だったのでは)、踵を返してソコをさっさと抜け出ようとした時、ピンク色に白いラインの入った薄汚れたジャージの上下を着た小さい女の子
が、スルスルッと寄って来て 俺の前を塞ぐように体を斜めに倒して、両腕を後ろ手に、
 「三蔵かなぁー、三蔵だねー」とか言って「チョコレート、もらって下さい」と、板チョコらしきものに金色っぽい1cm幅くらいのリボン?っぽいのを巻いたのを差し出した。
 「あっ・・・ありがとう・・・」(生まれて初めてアリカ゛トウと言ったと思う)
 その子が「じゃあ!」と、言って、走って行った・・・うわーっ汚ェランドセルだなぁ・・・色が褪めきってるし、光沢0・・・髪がかなり長いんだけど、ツヤもなくバッサバサ・・・
 「・・・・・・」
 その後、着替えて自転車漕いで帰る途中、古い公団住宅の入り口から敷地内に曲がったピンクのジャージが見える(今のさっきの子だろ?)、ゆっくり曲がって後から「お-い!」と声を掛けると、ゆっくり振り向いて、立ち止まる。「今、ジャージが見えてさ・・・」「うん」「ここ、ウチ?」「うん」指差して「ここなんだよ。さ
なえのウチ」「ふ~ん・・・」いっちゃん道路側1階じゃん。
 「じゃあね。バイバイ」走って玄関に・・・金属製の緑に塗装された扉のノブをガチャガチャするも、開かない・・・「誰もいないの?」「・・・いないみたい」・・・扉と壁のL字になったスミに足を抱えて座る「さなえ。 おかあさん、くるまで、待ってるの」「鍵は?」「ない」「忘れたの(ニコッ)」「・・・持ってないの」
「なんで・・・」「なんでかなぁ」・・・なんなんだぁ?・・・もう6時過ぎて暗いし、雨降りそうだしさぁ・・・「大丈夫。すぐ来るから・・・いつもだよ(ちょっと笑ったかなぁ)」「そう。じゃあ、オレ、帰るね」「うん。バイバイ」チャリをカッ飛ばし、雨にぎりぎり降られずに家に着く・・・

 リボンみたいな金色のビニール紐を解く・・・玉結びになってんじゃん!!
 めげずに爪を立てほじくり解く。ラッピング・・・のり付けじゃん・・・包みを取る・・・
 この紙・・・新聞広告の裏の白いやつの印刷してる方に、クリスマスの新聞広告のそれっぽいところを切り取って隙間無く貼り付けてる・・・ん?・・・板チョコじゃなく・・・段ボールを切ったものに、チロルチョコを5×3個・15個並べてあって・・・ボール紙との隙間に、ノートを破った1枚が折って入ってて・・・開いて
読むと、鉛筆でデカイへたくそな字で「さんぞうのフアンです。かんばれ!おうえんしてます。さなえ」・・・オレのファンなんて、いんのかぁ?
 ・・・・・・でも、お母さん、ホントにすぐ帰って来んのか?・・・雨、すごいし・・・
 あそこ、すごく寒いだろ・・・
   オレ・・・どうすれば。どうすべきなんだよ。
          まだオレ、子供だし。
      おばあちゃんに聞くかな・・・
   いや、おじいちゃんの方がいいか・・・
      ・・・・・・どうすんべカ・・・・・・

 この後、さなえちゃんは、チロルチョコを15個集めるのに2年掛かった事を知る。

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2009/02/11 17:38
 当時、そんな泣ける話だとは思っていませんでした。
 実際その頃、ナントカしなければと、必死で。涙など。
 で、自分で思い出して書いてたら、泣けてきて、その後思い出すたびに泣けて・・・やっと、収まってきました。
 中一まで小さかったし痩せてもいましたが、忠一から中二で、身長32cm体重14kg増えて168cm44kgになったんです。小学校の頃と全く同じ生活だったんですが、おじいちゃん172cmあるんですが、高校の時はようやくおじいちゃんより2・3cm大きくなりました。やっぱり同じくらいになるんですね。
 死んだ父も俺と同じくらいだったらしいです。
 みんなに、このブログ・・・伝わって嬉しいです。
 心より、ありがとう。  チョロ過ぎる三蔵より。
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2009/02/09 22:42
そこまでではない・・・・と思うけど 娘の学校にも 「ほっとかれてる」であろう・・・・
たぶん。。。な子供はいます。
家が近いわけでもないし 確認したわけでもないけど。。。
今は なかなか 他の家庭に立ち入ることが出来ないので
明るみに出てくる時代ではあるけど 手出しにくさもあります。
チロルチョコ 2年。。。自分だって食べたい年頃なのに すごい!(゜-Å) ホロリ 
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2009/02/09 21:49
ほんとサナエさんいい子ですね><。
幸せに暮らしていると信じています。

今はそういう虐待とか明るみに出てくる時代になりましたが、
私たちの幼い頃はそういう話すら聞かなかったですよね。
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2009/02/09 18:44
昼間に記事読んだんだけど、昼間でよかった。
深夜に読んでたら涙腺崩壊するって
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2009/02/09 01:37
(´;ω;`)ブワッ
ちょと涙でた(´;ω;`)ウウッ…

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2009/02/08 21:49
 sazankaさん

 シンクロシニティですか?
 私自身記憶が、全部確かだとは言い難いですよ。
 記憶が何かに変質して、かなり曖昧な部分もあって。
 さなえって名前だけでも、最初名札を見たときに、おやっっと懐かしいような恐いような愛しいような感じがありましたよ。
 よく分かんないですね。
 そう、私は何も分かっていないのかも。
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2009/02/08 21:42
 姉御さん。

 私ももこもこ姉さんの話を読んで、子供の頃もありなら、書くこと一杯在ると思ったんですが、
 もこ姉さんと違って、必ずダークな匂いが付き纏うんです。
 たぶん。私って、全部こんな感じになってるかも・・・
 私の影を感じて、くっついてくる人って・・・100%なんか聞いてはいけない部分がある人が多くて。ニコットさんでは、多少助かっています。真面目に。
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2009/02/08 21:28
なんでだろ・・・
なんでだろぅ さっきも他の人のブログ読んで 同じ経験も無いし感情もどこかにいってるのに涙が溢れそうになるんだ。

私はさなえちゃんのフアンなのかな?

なんなんやねんろぉ~・・・
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2009/02/08 21:26
ええ話や~と思ったら
最後の1行に 驚愕!!

そっか、そういうことか・・・
こういう話を聞くとさ、子供は子供らしく幸せであって欲しいと
心から思うんですよね・・・
さなえちゃんが 今 幸せな毎日を送っていますように・・・
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2009/02/08 20:47
えっ!
二年かかったチロル…!

しかしせつないお話ですね…。
わたしのとてもくだらない記憶と大違い。
なんだか号泣します…とほほな過去の自分に対して…。

おばあちゃんの気遣い、いいお話ですね…。
世の中からそういう悲しい子供がいなくなるように
何かできるといいのに、と思います…。
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2009/02/08 19:56
 そうそう、言い忘れたけど、その頃、おばあちゃんがお手玉を縫ってあげて、中に500円玉が1個入れてあって、困った時に、さなえちゃんが、使えるようにしてましたよ。 
 俺にも、お小遣いを・・・とは思ったけどね^^
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2009/02/08 19:52
 ふらんつさんへ。
 ふらんつさんの想像に近いですよ。
 あれは、ほうっとけないです。
 諦めてるような感、お母さんを一生懸命庇ってて、虐待されてると、すぐおもいましたよ。
 
 そうそう、小さかったんですよ。今もそんなに大きくはないですけど。
 中一から中二で、身長が 137cmから168cmになったんですよ。
 全然分からなかったけど、学生服とズボンが、完璧にダメになったんです。
 その後は、1cm2cmずつしか伸びず、今、だいたい174cmくらいかと思うけど、一昨日ブリッジして寝てしまったので、2cmは伸びたかも?すぐ戻ると思うけど。
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2009/02/08 19:41
まえけん兄さん

9時OKです。待ってますよ^^
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2009/02/08 19:35
 ハンナさん。
 展開、予想付くじゃない^^
 父蒸発で、母、水商売。
 毎日、帰って来るのがAM1:00過ぎでさ。
 さなえちゃん、虐待を受けてたと思う。アザが黒く体中にあって、すんごく痩せていたんだよ。
 ウチに1週間に3日泊まっていい事に、強引におばあちゃんが、脅しをかけて約束させたんだ。
 お母さんも彼氏を連れ込むのに都合が良かったらしくて、
 でも、さなえちゃん、次の年のお正月開けに引っ越したんだよ。お母さんの実家に。
 おばあちゃんもおじいちゃんもいて、可愛がってもらってるって、手紙が来てたよ。
 あの頃、お風呂にもほとんど入って無かったらしくて、犬の様な匂いがしてたけど、実家に戻ってから、もうカワイくなってたよ^^
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2009/02/08 19:12
8時に、部屋いきます~~~~~

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2009/02/08 18:51
三蔵さんて子供のころは小さかったんですね。高校になってぐっと伸びたのかな?

2年前から三蔵さんの為にチョコを集めてたなんて!板チョコのチロルチョコってなんだろうと思いましたが納得です。
 とても心のこもった贈り物で、素敵なファンですね♪(#^▽^#)

女の子のその後がとても気になります。いつもうちの前で暗くなってお母さんが帰ってくるまで待ってたのかな。
いつも遅くなるなら鍵を渡しておかないお母さんがいけないんでしょうけど。
子供のころって無力で出来ること少ないですよね。
私だったら、うちの人に事情を話してうちに来るように誘いに行くかなぁ。その人の家の事情もあるからとても難しいです。
三蔵さんはどうしたんですか?(・∀・)
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2009/02/08 18:41
甘酸っぱい想い出ですね。

三蔵さんって記憶力いいですよね!こういう情景やモノの描写とか。。いつもいつも感心しています^^

小学生で、バレンタインにチョコかぁ・・1対1だとドキドキしただろうなー

2年という月日の間に、賞味期限が切れちゃったものもあったと思いますが
ここではヤボな推測というもの・・要は、キモチだよね!キモチ!
三蔵さんのために一生懸命集めたのかな~ピュアですね♪
2月の雨は冷たかったと思います・・さなえちゃん風邪ひかなかったかな。
このお話、続きあるんですか?
家に呼んであげたとか?



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