大人のためのおすすめ絵本 No.2
- カテゴリ:日記
- 2016/03/06 20:57:33
絵本/プレゼントにおすすめ絵本
大人のためのおすすめ絵本
絵本を開くと、わずか10分で世界が変わります。
それは子どもだけに許された特権ではありません。
絵本には、大人だからこそ味わえる魅力もあります。
今回は、人生経験を積んだ大人の方に楽しんで欲しい、豊かな絵本の世界をご紹介します。
執筆者:大橋 悦子
絵本で大人の想像力を刺激する
「読書は、知的好奇心旺盛な人々の欲求にこたえる総合的なエンターテイメントだ」とガイドは考えます。
中でも絵本は、自分の想像力を駆使して楽しむことができる特別な存在ではないでしょうか。
大人になって、「少々自分の想像力が錆びついてきたかも……」と感じたら、想像力を刺激する次のような作品を読んでみませんか。
まずは、ヒッチコック映画のような身近に潜む恐怖を描いた異色の絵本をどうぞ。
絵本は子どものものだからと甘く見てはいけません。本当に怖いですよ。
なにしろ作者は、『怪談の怪』発起人の1人・京極夏彦氏なのですから。
【 いるの いないの (怪談えほん3) 】
絵本から怖い話が消えつつある現状を憂い、「子どもたちに、もっと怖いお話を」と企画された「怪談えほん」シリーズの中の1冊です。
怖いから何かいると思うのか、それとも何かいると思うから怖いのか……古いおばあさんの家で暮らすことになった少年に、「得体のしれないもの」への恐怖がじわじわと忍び寄ってきます。
1度怖いと思ってしまったら、何もかもが恐ろしく感じるのは、人間の想像力のせいでしょうか?
1度でもこの本を読んで、想像力のスイッチがオンになってしまったら、暗闇を凝視できなくなるかもしれません。
【書籍DATA】
京極夏彦:作 町田尚子:絵 東雅夫:編
価格:1575円/出版社:岩崎書店
かわってご紹介するのは、書道の絵本。
文字の美しさを自由に楽しむ作品です。
それだけに、読み手の想像力が試されてしまいそうです。
【 月人石 こどものとも傑作集 】
写真と書、そして谷川俊太郎さんの詩が、三位一体となって読者に迫ってくる絵本です。
言霊という言葉がありますが、ひょっとすると文字にもまた不思議な力が宿っているのかもしれません。
例えばガイドが「馬」という文字から農耕馬の力強さをイメージしたように、読者は、それぞれの書から、漢字の表意文字としての意味以上のものを感じとることができるはずです。
絵本では、ヴィジュアルが逆に読者の想像力を限定してしまうケースもありますが、この作品にそのような心配は全くありません。
【書籍DATA】
乾千恵:書 谷川俊太郎:文 川島敏生:写真
価格:840円/出版社:福音館書店
絵本でクラシック音楽を楽しむ
クラシック音楽というと、どことなく高尚で敷居が高く感じられるという方も多いようですが、絵本の中には、クラシックをモチーフに、あるいはそれらを原作として作られたものが少なくありません。
絵本作家という「芸術家」を通して語られる音楽の世界には、発見がいっぱいです。
絵本の中に、音楽を聴くだけでは気付かなかった視点や驚きを見出せることもあり、鑑賞の幅が広がることもまれではありません。
忙しい毎日の中、時には、お気に入りの絵本を開きながら、原作のCDに耳を傾ける……そんな贅沢な大人の時間を演出してみませんか。
原作に負けない完成度を持つ以下の2冊なら、至福の時を約束してくれそうです。
【 魔 笛 】
フランクフルト歌劇場でオペラ『魔笛』を上演する際、美術演出を手掛けたミヒャエル・ゾーヴァが、その時の舞台美術や衣装の草案をもとに作った絵本です。
ゾーヴァならではの独特の世界観で作り上げられた『魔笛』は、オペラとはまた違う、絵本ならではのシュールな魅力を放ちます。
【書籍DATA】
那須田淳:文 ミヒャエル・ゾーヴァ:画
価格:2100円/出版社:講談社
【 白鳥の湖 】
チャイコフスキーの名作『白鳥の湖』をもとにして、これまでたくさんの絵本が作られてきました。
中でもヴェルガーの作品は秀逸です。
ツヴェルガーの絵本の結末は、悲恋で終わるバレエのそれとは違いますが、物語の流れに違和感はありません。
けれども一見可憐で優雅に見えるその絵には、不気味でグロテスクな面もあり、1人2役で踊られるオデットとオディールを連想させ、物語に深みを与えています。
翻訳も美しく、まさに大人のために作られた絵本といってよいでしょう。
【書籍DATA】
ピョートル・チャイコフスキー:原作 リスベート・ツヴェルガー:絵 池田香代子:訳
価格:1575円/出版社:ブロンズ新社