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名作絵本「ねないこだれだ」の意外な真実


名作絵本「ねないこだれだ」の意外な真実

子どもの世界はきれいごとだけじゃない

( 東洋経済 20160820日(土)せな けいこ:絵本作家 )

「しつけのための本」ではない

私のデビュー作のひとつでもあり、親子3代にわたって読んでいただいている本があります。

それが『ねないこだれだ』です。

最後には、遅くまで起きていた女の子がおばけになって、おばけの世界につれていかれてしまいます。

この本はよく、しつけのための本と間違われるのですが、そんなつもりで書いたのではありません。

しつけの本だったら、子どもはこんなに好きになってくれるはずがありません。

子どもは敏感ですからね。

そういったことはすぐにわかってしまうんです。

絵本の最後に、夜なかなか寝ない子どもがおばけに連れられて飛んでいくというシーンがあります。

大人はこれを「早く寝ないといけない」という、しつけのメッセージだと思うかもしれません。

でも違うんです。
だって、おばけの世界へなら、子どもはきっと飛んでいってみたいでしょ? 

わたしだって、そうなのだから。
実際に、私の娘などは「いいよ、とんでいくよ」といっていました。

私の本にでてくるおばけは、子どもを脅すおばけではないんです。

ましてや誰かが死んで、化けて出てくるのでもない。

おばけは、おばけの世界で自由気ままに生きている。

そして、子どもはそのことを知っているのです。

だからちょっぴり怖くても、やっぱりおばけが好きで仕方ないんです。

しつけをしたり、脅したりするおばけだったら、子どもが好きになるはずないじゃないですか。


大人になると、自分もおばけの世界をのぞいていたことなどすっかり忘れてしまって、しつけとしておばけの本を読んだりしてしまう。

でも、しつけのために絵本を読まれて、子どもは楽しいでしょうか? 

絵本は、大人のためのものではないんです。

もちろん一緒に楽しめたほうがいいけれど、絵本はあくまで子どものものですから。

子どもの世界は、時々おばけの世界と交わることがあります。

子どもはおばけが「いる」ということを知っていますから、あんなにドキドキできるのです。

おばけの本を読んであげているときの、子どもの様子をみれば、すぐにわかります。

子どもはすっかりおばけの世界に飛んでいっているのです。

私は子どもの世界をずっと描いてきました。

だから、お父さんやお母さんにも、「子どもの世界ってどうなのだろう」と創造力を働かせて、絵本を選んでいただけたらと思うのです。

大人には意味がわからなくても、子どもが夢中になっている本があると思います。

それはもしかすると、子どもの世界だけが描かれているからかもしれません。

『めがねうさぎ』は、初めてめがねをかけることになったうさぎのお話です。

これは私の息子がモデルなのですが、めがねをかけることになったうさぎは、

「ちょっぴりはずかしくて、ちょっぴりとくい」なのです。

大人からみると、「小さいうちにめがねなんてかわいそう」などと、つい思ってしまうものですが、子どもはそうではないみたい。

子どもの世界は大人のそれとは違うのです。


かわいくまとまらない絵本

私の絵本は、シュールだとか、怖いとか言われることもあるのだけど、それは本当に子どもの世界を描いているからです。

絵本には、かわいくまとまっているものが多いのですが、「みんななかよし」「あの子もこの子もみんないい子」などということは、本当はないのです。

子どもの世界は、けっこう厳しいし、理不尽なことだってたくさん起こる。

嫌いなにんじんを食べなきゃいけなかったり、ぐちゃぐちゃの髪の毛にブラシをかけなきゃならなかったり。

いつまでも起きていたいのに、寝なくちゃならないなんて……!
それが子どもの世界です。

子どもが「これはぼくだ」「この子は私だ」と思ってくれる本を、私はつくりたかった。

お母さんが喜ぶ本ではなくて、子どもが「自分だ」と感じる本をつくりたかったのです。

そんなふうに絵本をつくっていると、どうしても、甘い終わり方ばかりにはならないのです。

私は自分の娘や息子もよく本の題材にしていたのですが、そんなふうに絵本をつくっていますから、「ちっともよく描いてもらえない」と文句を言っていました。

娘などは、「お姫様にしてくれればいいのに」と思っていたようです。

でも、私の本ではそうはいきません。

現実の世界と同じように、絵本の中の子どもたちも、泣いたり困ったりしているのです。


子どもたち自身に、自分の物語をつくってほしい
37年、絵本作家としてやってきました。

それで今思うのは、子どもたち自身に、もっと自分の物語をつくってもらいたいということです。

できたら、貼り絵でね(笑)。

ですから、作家生活の集大成として今回出した『ねないこはわたし』の中には、貼り絵の仕方や、どんな道具を使っているか、どんな紙を使っているかをこと細かく公開しています。

貼り絵は思ったより簡単で、失敗も少ないのです。
はさみを使わなくても、手でちぎればいいので、小さいお子さんでもできるんですよ。
紙だって、なんだってかまわないんです。

私も昔から、お店の包装紙や、税務署の封筒の裏を使ってつくっているのですから。

お父さん、お母さんと一緒に、お子さん自身のおばけをつくってもらえたら、こんなにうれしいことはありません。

(構成:黒坂真由子 写真:佐藤亘)

 

 

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2016/09/28 19:39
こんばんは
神が 天が 許されるなら
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エスコート したいなぁ ~ ホテルオークラもVIP室へ
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2016/08/21 15:16
St.bono さん、おのさん、こんにちは!
コメントをありがとうございます。
私も『ねないこだれだ』 の話は知りませんでした。^^;
でも、この記事を読むと意外でしたが、なるほどぉ~と
思いました。(^^;
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2016/08/21 10:12
『ねないこだれだ』知らなかったです^^;
おばけは子供にとっては好奇心の対象なのですね^^
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2016/08/21 04:55
お〜〜
なるほど・・・・・
納得できますね!



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