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森乃福郎『太閤の猿』その3

「か~、もうー、来んかいな~」とお待ちになって居りましたが、そこへお越しになったのはご家来の大大名で御座いますが加藤清正公で御座います。 これはもう大紋の袖をばこう掛け合わせまして丁重に、『加藤清正に御座ります。 殿下には麗しきご尊顔を拝し恐悦至極に存じ奉り(たてまつり)ます。』 「おお清正来たか!...

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森乃福郎『太閤の猿』その2

ここが頭がええ、曾呂利新左衛門は、『はい、殿下が猿に似させられてるのでは御座いません、猿幸いを得て殿下に似たものかと存じます。』 「成程、余が似てるのではなく、う~ん、猿が余に似て居るのか!・・おんなじこっちゃ!」ってゆうてね! もうあんた言葉遣いも乱雑になって参りますがね。

「うん、面白い!...

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森乃福郎『太閤の猿』その1

まあ拍手はその位で!・・

“何をくよくよ、川端、やなーぎ~~” あのスナック行ってカラオケ歌ってる訳では御座いません。 これはだいぶ昔の、明治の時分の流行歌で御座います。 一片歌いますが・・宜しいですか? 

“何をくよくよ、川端、やなぎ~、焦がるる何としょ、水の流~れ~~を、見て暮らーす...

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旭堂南陵『矢作橋』その5

秀吉は静かに靴音高く橋の中程をば欄干のあたりまで進んでまいります。 

「(あ~、想い出すな~・・この橋は吾が12歳の時にこの橋の下に菰を被って寝ておった小猿・・今日はこの姿と成ってこの橋を越す・・おお、その時の徳川竹千代は今は余の家来、徳川家康である・・)」と思いながら、ひょっと振り返りますと...

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旭堂南陵『矢作橋』その4

「はっは~~はっは~~っは!」 『大きな声で笑いやがるな!』

「易者、了見が小さい、小さい、えー、三公の官位だの武家の司、ありゃ神や仏が成る者と決まって居らんぞ、え! 人間が成るもんだぞ! 俺は今は吹けば飛ぶような浪人だ。 しかし俺はな、憚り(はばかり)ながら天下をば掌握してみたいという思いを...

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