最近、自死に対するハードルが確実に下がっているように思う。ニュースで有名人の自死が取り上げられない日の方が少ない。
　鬱、パニック障碍・・・。
　私のリア友は、ひとりは統合失調が原因？で、ひとりは鬱が原因？で自死した。
　私の結論から述べよう。別に、自死した人々を責めるつもりは毛頭ない。人生は、失敗者や病人にとって、生くるに値しないものかもしれないから・・・。しかし、人間が生きるか死ぬかを決定する権限は、人間には、ない。もしも、そう呼びたいならば、神が握っているのだと、今日の私は考える。
　私は最近、縋っていた一縷の望みを、ふたつ絶たれた。
　ひとつは、小説創作。文学賞の３次予選までは何回か残ったが、最後の壁は越えられずにこの歳になってしまった。
『文学賞を取って本になれば、それが生きてきた証になって、自殺権の留保ができる。つまり、いつ自殺しても、あの人は小説家だから、と許容されるだろう』
　しかし、その道は絶たれた。ぶっちゃけ、芸能人であれば、小説家になれるのだ。芸能人であるということは、才能があるということ。ああ、俺には才能がないんだ、と、ほとんど太い幹にロープを掛けそうになりつつ、思い留まった。
　ふたつめは、英語。今まで喰う為に英語を勉強してきて、BBCのニュースぐらいの綺麗な英語なら正確に聞き取れる程度のスキルは身に付いた。しかし、それも捨てろとの命令が・・・。
　そして、PCド素人の私に来たミッションは。
「半年以内に、Java(コンピュータ言語）をマスターして、１年以内に、アプリのプログラミングができるようになれ」
　不可能！できるはずがない！
　が、生きていかねばならないので、食うギリギリの仕事以外の時間は、Javaの学習に当てなければならなくなった。いくつかの速習法を模索して得られた結論が、Eclipseというフリー開発ソフトをインストゥールして学習するという方法。しかし、ゆーつべのマニュアル通りには行かない。昨夜、いろいろ考えて、IE９ベータだから入らないのかとIE８にダウングレードしたり、６４ビットだからかと、３２ビットでやってみたり、結局、７時間かかって、入らず。
『ざけんな！俺は、誰に何と言われても、PCにだけは手を出さなかった超アナログ人間なんだよ！やめた！やめた！これからは酒を呑みまくって、５年以内に肝臓ガンで死んでやる！』
　しかし・・・。ビールコップ３杯で、背中に激痛が走るこの身、到底アルコールには手が出せない。
　家族にも捨てられ、無一文、もちろん社会的な地位などゼロ。
　もう、死んでいいんじゃない？
　いつもより睡眠剤を多く飲んで（真似しちゃダメだお）意識の土俵をうっちゃって眠りの世界に行き、いつも通り午前５時４０分に起きて出た、朝の会で・・・。
　私は、そう呼びたいならば神と言うべき存在に向かって抗議した。
「人間のゴミクズカスに不可能なことやらして、あんたは、そんなに面白いか？早く殺せや！」
　次の瞬間、私の意識に、二十歳の初夢で見た、アウシュビッツ強制収容所の屍体の山積の中に居た、父親の顔を思い出した。あの時、父親は言った。
「俺の死を常に意識しろ」
　次に、私がinpireされたのは、まぎれもない今この瞬間に強制収容されている、東アジアの同胞たちの境遇だった。彼らは、まさに瞬間瞬間殺されながら生きている・・・。
　まあ、私は聖人君主ではないから、今の自分の状況に感謝はできないし、今、相変わらず、PCのことも進まない。
　しかし、アウシュビッツから奇跡的に生還した精神科医ヴィクトール・フランクルは、安んじてこう述べている。
「人間の苦悩は、誰か他の人が取って代われるものではない。それだからこそ、苦悩には価値があるのである。そして・・・。我々はついに知るのである、かくも苦しんだ上は、もはや何者も・・・、神以外に、怖れるものは、ない」
　欝、パニック障碍、統合失調、経済破綻、アルコール依存、ギャンブル依存、お買い物依存・・・、苦しんでいる同胞よ。
　今日一日、とにかく生きようよ・・・