禁断の恋・その壱
- カテゴリ:30代以上
- 2013/06/03 19:30:00
*これは、恋愛ブログではありません*
今日は早めに仕事を切り上げた。
すぐに勉強に取り掛かればよかったのに、気晴らしにジュンク堂書店に行ってしまったのがいけなかったwww
気晴らしといっても、やはり見るのは試験に関する本。
こういうのがいちばんいけない。気晴らしなんだから、好きな登山の雑誌でも見てればいいのに。
試験対策の本はつまんないので、もっと興味を引かれる民法の本は、と思い、法律書の本棚に行ったら。
『民法 内田貴著 東京大学出版会』 という、4分冊の分厚い本が目に止まり。
例の座り読み。10分足らずで、オレはこの本に酔った。
本に酔う。実に高2以来の経験!
16歳のオレは、豊饒の海(三島由紀夫著・全四巻・新潮文庫版)に心酔し、というより、恋に落ち。成績もガタ落ちで、担任から呼び出しをくらった程だった。
三島の遺作の世界は、憧れではなく、少年オレの人生を決めたように感じていた。
もっとも、武装して決起し、切腹するという道ではなく。
この小説の基盤をなす輪廻を、そのまま信じているチベットに行き、チベット仏教僧(ラマ僧)となる、という、荒唐無稽な将来の希望。
担任は笑い飛ばし、ひとこと言った。
「Aよ、小説は大学に行ってからにして、英語(受験英語)を勉強しろ」
結局オレは、チベット仏教僧にはならなかった。しかし、その年の旺文社主催全国高校生読書感想文コンクールで、『豊饒の海第三部・暁の寺』をテーマとして、東京都予選で銅賞をもらった(金賞のみ全国へ)。
なんの縁か、その大会で全国優勝を飾った人は、オレの卒業した大学の一級下で、大学3年4年の春までと、真剣にお付き合いさせて頂いていた。
そろそろ、親父とオフクロに会ってもらおうかと思っている矢先、彼女から、オレの生まれた街は、どんな街なのかという質問を受けた。
何も深く考えず、オレにとっては当たり前のことを言った。
「まあ、戦後の米軍基地の街で、成り上がりが多くてさ、男って、金が貯まると、だいたい同じこと考えるよね。オレはもちろん違うけど」
だいたい同じこと、それが致命傷だった。
翌日から彼女は、視線を合わせてもくれなくなった。
オレは失意の中に、読経と写経を日課とすることとなり、しかし喪失感は消えぬまま彷徨っていたある日、真理に出会って助かったのだった・・・。
時が経つのは、ほんとうに須臾の間である。
オレは初老になり、いまだ落ち着きの無い暮らし。
古本には値段が付かない時代になり。
昨年の暮れに、高校時代には4巻揃いで2万円、手が届かなかった、『豊饒の海』初版揃いを、オレの行きつけの古本屋、『てんとうふ』さんで、3600円で入手できた。
第一部、ブッキーと竹内結子主演で映画にもなった禁断の恋物語『春の雪』
第二部、決起切腹する青年を描いた『奔馬』
第三部、認識論の極みである唯識を説きつつもベナレスの聖なる汚穢の照射を受け、愉楽に撹拌される肉を注視しながら己の存在の醜悪に震撼する『暁の寺』
第四部、何もないところにきてしまった『天人五衰』
16の時に、初恋のときめきを持って読んだ時の思いとは違うが、初老のオレは、旧仮名遣いで書かれた濃密なニュアンスを愉しんだ。
しかし、決して、『酔い』が回ることはなかった。
初版本は、今、オレの手が届く本棚に在る。
黒い箱の背表紙は、色褪せているが、かえって思い出深い。
オレにとって読むための小説は、これだけで充分なのだ。
小説だけではない、大切にするべき本は、この4冊だけ、のはずだった。
しかし・・・
(暇があればその弐につづく)
そういう本に出会いたいわ。
何故か手を付いて頭を地面に擦りたくなるのですよ♭ 本(文)に酔う時って。
そーゆーの私だけ?でしょうかね^^;
また、彼女も若かったんですね、きっと。
昔 何度も読んだような 本は 大人になって新たに入手してもなんだか思い出深い。
本というより その頃のジブンを思い出して酔うのかな?と思ったりする。
その深みは ここにあったのか~~~~~~@@
たぶん私は三島さんは趣味でないのでほとんど読んでないのです。
「仮面の告白」は読んだような気がするけど、覚えてないの。
「潮騒」は好きw
百恵ちゃんの映画の方が先に見たけど原作を大人になってから読んでときめいたわぁw
彼女に対してはいまの橋本さん的失言ってことなのかな。