Nicotto Town


イワナくんヤマメちゃんいらっしゃ~い


哀しい歌は詠わない


 棺の窓からお顔をお見せになられている奥様を拝見し、私は瞬時に感じました。
「やはり、病との激闘の末に召されたのだ」
 鼻筋の通った端正なお顔から、これ以上なく肉が削げ落ちた頬。
 私は表現し得ぬ感情に胸が熱くなるのを覚えながら、蝋燭の根元にティッシュペーパーを巻き、一本一本、燭台に立てました。
 ×                 ×                   ×
 献花が済み、最後のお別れのために棺が開かれ、お花を入れて差し上げる時が来ました。
 列の最後の私は、ピンクと黄色のカアネエションと、名を知らぬ橙の花を手に取り、棺の前に進みました。
 最後にお顔を拝見した刹那。
 奥様が、こんなふうに語られたような気がしました。
『違うのよ。Aさん。わたしは今、義母さんとふたりで、仕合わせなの。だから、哀しい歌は、詠わないで』
 思い込みですか?
 
 いいえ。
 奥様のお顔は、確かに確かに、輝いていらっしゃったのです。
 不謹慎ですか?
 私は次の刹那、微笑んでいました。
 
『ありがとうございます、奥様』
 退がりながら私は、感得しました。
『うたのこころが。天から、先生と奥様のいらっしゃるreignから、降りてきた』
 私は筆も紙も持っていなかったけれど、歌は私の中に在りました。

  
 ひかり充つ御国に帰りし母娘鶴 手を取りうたうあまつよろこび
                                     羊二

 *御国(くに)
 *母娘鶴(ははこづる)
 
 

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2013/06/20 22:07
死ぬことは 悲しい事・・と思うのは 生きてる人間の思い込みなのかもしれないですね。

病気と闘い その末に 天国に召されるとき 「戦い」は終わり あの世でまた 好きなことをして

苦痛もなく 痛みもなく 悲しみもなく全ての苦しみから解放され 神さまと 先立たれた 家族の元へ行ける。

それはある意味 安堵 安らぎという幸せかな。。とむーは思っています。


良い詠ですね。

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2013/06/19 23:37
お疲れ様でした。旅立ちはやはり…笑顔で見送ってあげたい、そう思います。

今生では別れであっても、それは永遠の別れでは無いのですから。
またきっと違う形で巡り合う、命と命の歩む道程ですもの♪
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2013/06/19 23:27
ご奉仕おつかれさまでした。
白ではなく色のきれいなお花をささげられたのですね^^
葬儀でも明るい色を使うのいいなって思います。



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