哀しい歌は詠わない
- カテゴリ:30代以上
- 2013/06/19 23:06:46
棺の窓からお顔をお見せになられている奥様を拝見し、私は瞬時に感じました。
「やはり、病との激闘の末に召されたのだ」
鼻筋の通った端正なお顔から、これ以上なく肉が削げ落ちた頬。
私は表現し得ぬ感情に胸が熱くなるのを覚えながら、蝋燭の根元にティッシュペーパーを巻き、一本一本、燭台に立てました。
× × ×
献花が済み、最後のお別れのために棺が開かれ、お花を入れて差し上げる時が来ました。
列の最後の私は、ピンクと黄色のカアネエションと、名を知らぬ橙の花を手に取り、棺の前に進みました。
最後にお顔を拝見した刹那。
奥様が、こんなふうに語られたような気がしました。
『違うのよ。Aさん。わたしは今、義母さんとふたりで、仕合わせなの。だから、哀しい歌は、詠わないで』
思い込みですか?
いいえ。
奥様のお顔は、確かに確かに、輝いていらっしゃったのです。
不謹慎ですか?
私は次の刹那、微笑んでいました。
『ありがとうございます、奥様』
退がりながら私は、感得しました。
『うたのこころが。天から、先生と奥様のいらっしゃるreignから、降りてきた』
私は筆も紙も持っていなかったけれど、歌は私の中に在りました。
ひかり充つ御国に帰りし母娘鶴 手を取りうたうあまつよろこび
羊二
*御国(くに)
*母娘鶴(ははこづる)
病気と闘い その末に 天国に召されるとき 「戦い」は終わり あの世でまた 好きなことをして
苦痛もなく 痛みもなく 悲しみもなく全ての苦しみから解放され 神さまと 先立たれた 家族の元へ行ける。
それはある意味 安堵 安らぎという幸せかな。。とむーは思っています。
良い詠ですね。
今生では別れであっても、それは永遠の別れでは無いのですから。
またきっと違う形で巡り合う、命と命の歩む道程ですもの♪
白ではなく色のきれいなお花をささげられたのですね^^
葬儀でも明るい色を使うのいいなって思います。